化学メーカーってどんな仕事があるの?
化学メーカーの仕事は実際に入社するまではよくわからないですよね?現役社員が実際に経験したことをもとに説明します。
化学メーカーの現役社員が説明するよ
化学メーカーの仕事一覧
文系出身者は本社の業務、理系出身者は研究や工場で仕事をすることが多いです。理系出身者が本社で仕事をするケースもあります。
理系
理系出身者の大学時代の専攻と業務の関係は、おおむね以下の対比表のようになります。
有機化化学、無機化学、高分子化学、計算化学、化学工学といった化学系はもちろん、生物系、物理系の人も研究の仕事をするために募集されています。
化学メーカーだからといって化学専攻の人だけが入社するわけではありません。化学メーカーには工場の設備に関わる仕事もありますので、機械系、電気系、電子系、制御系、土木建築系の人たちも募集しています。
(出典)三井化学採用ホームページ
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/career/work/occupations.htm
文系
化学メーカーに入社する文系の人は、経営企画、購買、法務、経理、総務、人事、知財、営業などの仕事をします。化学メーカーは研究や工場での製造をイメージするかもしれませんが、それだけで会社は成り立ちません。文系の人も化学メーカー出活躍する機会は大いにあります。
化学メーカーの15種類の職種と仕事内容
化学メーカーでの職種と仕事内容について概要を説明します。9種類の職種については、さらに詳細な仕事内容を別記事にまとめています。詳しくは別記事をご覧ください。
研究
新製品開発・新製法開発 新しい化学製品を開発したり、化学製品の新しい製法を開発したりします。会社の競争力向上のために大きな期待が寄せられる部署です。
技術営業 営業と一緒に顧客訪問し、開発した化学製品の説明をします。
知的財産の権利化 新しい製品、新しい製造方法、新しい用途を開発できたら、特許を出願して権利化します。
生産技術
製造プロセス設計 研究が開発した新製品を工場設備で製造するための製造プロセスをつくります。
スケールアップ実験 工場設備で製造する前に、製造プロセスの条件設定をするために実験室やパイロットプラントで実験をします。
知的財産の権利化 新しい製造方法を開発できたら、特許を出願して権利化します。
品質保証部(品質管理部)
仕様書・品質保証規格の設定 自社製品の仕様書・品質保証規格を設定します。
原料品質管理 購入原料の製品品質保証書を確認し、品質に気になる点があれば原料メーカーへ問い合わせて改善を依頼します。
製品品質管理・品質保証 自社製品を分析し、目標の品質を満たしていることを顧客に保証します。
工務部
定期修理・設備メンテナンス 化学メーカーの製造設備は数年に一回、大規模メンテナンスである定期修理を行います。工務部は、定期修理を計画し実行します。
工場や設備の設計と導入 製造部から工場や設備の設計思想を聞き取り、これをもとに工場や設備の設計をします。設計した工場や設備を建設会社、設備メーカーと協力して導入します。
設備トラブル対応 急な設備トラブルが発生した場合は故障原因を見つけ出し、迅速かつ適切な対策を講じます。
工場管理
工場の長期計画策定 製品の長期の販売見込み数量をもとに、工場の製造体制を整備します。
生産計画作成 営業から短期・中期の販売見込み数量を聞き取り、工場の生産計画を作成します。
各種トラブル対応 製造部や工務部と協力し、製造トラブル、設備トラブルの原因究明と対策を立てます。
製造部
製品の製造 工場で製品を製造します。工場の現場で原料を仕込んだり設備を制御したりするオペレーターと、オペレーターを監督する監督職がいます。
作業手順の作成 監督職は安全性や品質確保のための作業手順書を作成し、オペレーターを教育します。オペレーターは作業手順を順守して製造します。
知的財産部(知財部)
知的財産の権利化 研究や特許事務所と協力し、新しい製品や製法を権利化します。
知財戦略策定・知財ポートフォリオ管理 事業戦略に基づいて知財戦略を策定し、自社に有利な知的財産状況をつくり出します。
侵害訴訟 他社が自社特許の権利を侵害している場合は、法的手段を講じて争います。逆に他社から権利侵害を疑われた場合は、自社の実施技術が他社特許の権利範囲外であることを証明したり、他社の特許が無効であることを主張したりします。
営業部
顧客開拓 顧客の要望を研究に伝えて新製品開発に活用します。新製品を開発できたら、製品の特長や利点を顧客に説明して販売します。
既存顧客への販売 化学メーカーは同じ製品を継続的に納入するケースが多いです。そのため、既存顧客への販売が主な仕事となります。顧客から今後の所要量と納期を聞き出し、工場に伝えることも重要な仕事です。
購買部(調達部)
購買戦略の策定 自社にとって重要な原料か、供給不安リスクがある原料か、この観点で原料を分類します。重要かつ供給不安リスクの高い原料は、複社購買化したり自社で製造したりできないか検討します。
原材購入・在庫管理 自社工場の製造に必要な原料について、原料メーカーに購入見通しを伝えて供給してもらうよう準備をします。そして自社工場の製造に合わせて、必要な数量を必要なタイミングで購入します。在庫数量を正確に把握し、購入数量を調整します。
価格交渉・契約交渉 原料メーカーとの契約には、納期、支払い条件、最低購入量など諸条件が定められています。自社の製造に障害にならないよう必要に応じて契約交渉します。
経営企画
事業戦略の策定 業界動向や市場の変化を分析し、会社の長期的な戦略を策定します。
予算の策定 事業戦略と自社の業績をもとに予算を策定します。
法務部
法的問題の解決とアドバイス 法的トラブルが発生した際に前面に立ち、または法律に従ったアドバイスをして、解決します。
契約の作成や確認 取引や提携に関する契約書を作成したり、他社が作成した契約書を確認し、法的リスクを最小限に抑えて会社の利益を確保します。
経理部
財務報告 決算報告書や財務諸表を作成します。これに基づいて会社の財務状況を評価し、経営層に報告します。
投資経済性の計算 投資をするべきかどうか判断するため、設備投資額と将来の利益予想から、その投資が有利か不利か計算します。
総務部
施設保全 会社施設を快適な環境に維持するため、必要なサービスを提供して施設の保守管理をします。
社内イベントの企画と運営 社内のコミュニケーションを促進するためのイベントを計画し運営します。
人事部
採用戦略の策定 適切な人材を採用するための戦略を作成して実行します。求人募集や面接プロセスの管理をします。
研修の計画と実施 社員がスキルを身につけるよう、研修を計画して実施します。
成績評価 社員の成績評価の実施にもとづく評価とりまとめ。
環境・安全
環境保護方針の策定 化学物質を環境(大気や河川)に出さないように基準を定めて管理します。
安全性の管理 社員の安全と健康に関するために、工場で安全・健康的に作業できるようルールを決めたり、災害時の予防訓練を計画します。
まとめ
化学メーカーの職種を理系と文系にわけて説明しました。
研究、生産技術、品質保証(品質管理)、工務部、工場管理、製造部、知的財産部、営業部、購買部の9種類の職種についてはさらに詳しく説明しました。
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