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【最新】半導体材料メーカーの世界シェアランキング|主要素材一覧【19種】

半導体材料 半導体関連企業

生成AIやデータセンターの急拡大に伴い、あらゆる電子機器に欠かせない半導体の需要は今後も高まりを見せています。

実は、この半導体を陰で支える半導体材料において、日本企業は圧倒的な世界シェアを誇っています。前工程から後工程に至るまで、日本メーカーの材料供給がストップしてしまうと、世界中の半導体製造ラインが止まってしまうほど不可欠な存在です。

この記事では半導体材料の一覧と、各材料で世界シェアの高い化学メーカーと市場規模を紹介します。

この記事はこんな人におすすめ
  • 半導体材料ごとの世界シェアと主要メーカーを一覧で把握したい人
  • 半導体材料メーカーに投資したい人
  • 半導体材料メーカーに就職・転職したい人
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半導体材料とは

半導体を製造するために使用する材料を半導体材料と呼びます。半導体の製造には数多くのプロセスがあり、工程ごとに異なる専門的な材料が使用されます。半導体製造プロセスと、各工程で使用する半導体材料を一覧表にしました。

前工程は、シリコンウェハーの表面にナノメートル単位の微細な電子回路を作り込む工程。後工程は、回路が完成したウェハーを切り出し、外部の衝撃から守るパッケージ(容器)に仕上げる組立て・検査の工程です。

大分類 工程工程の説明半導体材料
マスク製造1マスクブランクス作成石英基板上に金属膜と感光膜をコーティングするマスクブランクス
2フォトマスク作成透明なガラス板の表面に、設計した回路パターンを描くフォトマスク
ウェハー製造1シリコンインゴット製造多結晶シリコンから高純度のシリコンインゴットを製造する多結晶シリコン
2シリコンインゴット切断シリコンインゴットをワイヤーソーで薄くスライスし、
ウェハーをつくる
シリコンウェハー
3ウェハーの研磨シリコンウェハー表面の凸凹を研磨剤と研磨パッドによって
鏡のように磨く
 
前工程

3~9を繰り返して
半導体を作りこむ
1ウェハー表面の酸化ウェハーを高温の酸素に晒すことで表面を酸化させる酸化性ガス
2薄膜形成CVDやスパッタリングで、ウェハーの表面に
様々な材料の薄膜をつける
CVD用ガス、スパッタターゲット
3フォトレジスト塗布フォトレジストといわれる感光剤をウェハー表面に
均一に塗る
フォトレジスト
4露光フォトマスク、縮小レンズを通して光を照射し、
回路パターンを焼き付ける
フォトマスク、ペリクル、
トップコート材料
5現像現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する高純度薬液
6エッチングフォトレジストで形成されたパターンに沿って酸化膜、
薄膜を削り取る
エッチング用ガス、高純度薬液
7レジスト剥離・洗浄残っているフォトレジストを剥離し、ウェハー上に残っている
不純物を取り除く
高純度薬液
8イオン注入不純物イオンを注入し、熱処理によって活性化する導電型不純物ガス
9平坦化ウェハー表面をの凸凹を研磨し平坦化するCMPスラリー
10電極形成電極配線用の金属をウェハーに埋め込む 
11ウェハー検査ウェハーに形成された数百のチップに対してプローブで
電気的に検査する
 
後工程1ダイシングウェハーをダイヤモンドブレードで切断し、
ひとつひとつのチップに分離させる
 
2ダイボンディング
(チップ固定)
切り離したチップを、リードフレームやパッケージ基板に
接着・固定する
ガラスクロス、極薄銅箔、
リードフレーム
3ワイヤボンディング
(配線接続)
チップ上の電極(パッド)と基板の端子を、金や銅などの
微細な金属線でつなぐ
ボンディングワイヤ、
銅表面処理剤、層間絶縁材料
4モールディングチップやワイヤを水分、ほこりから守るため、
エポキシ樹脂などで包み固める
封止材(モールド樹脂)
5最終検査異常がないか何重もの試験を行い、不良品を取り除く 

主要半導体材料メーカー一覧表

【材料別】主要半導体材料メーカー一覧表

日本企業が世界シェアの50%以上を占めている半導体材料を一覧表にまとめました。

マスクブランクス、フォトマスク、ペリクル、シリコンウェハー、高純度フッ化水素酸、フォトレジスト、トップコート、ガラスクロス、極薄銅箔、銅表面処理剤、層間絶縁材料、封止材(モールド樹脂)など、日本企業は複数の材料で高い世界シェアを持っています。

半導体材料日本企業のシェア合計主要日本メーカー
マスクブランクス約90%HOYA、AGC、信越化学
フォトマスク57%テクセンド、HOYA、DNP、エスケーエレクトロニクス
ペリクル過半数三井化学、信越化学、AGC、リンテック
シリコンウェハー55%信越化学、SUMCO
高純度フッ化水素酸70%〜80%ステラケミファ、ダイキン、森田化学
フォトレジスト74%東京応化、JSR、信越化学、富士フィルム、住友化学
トップコートほぼ独占JSR
ガラスクロスほぼ独占日東紡
極薄銅箔ほぼ独占三井金属
銅表面処理剤ほぼ独占メック
層間絶縁材料ほぼ独占味の素
封止材(モールド樹脂)過半数住友ベークライト、レゾナック、信越化学、日本化薬

【メーカー別】主要半導体材料メーカー一覧表

半導体材料メーカーごとに、製造している半導体材料とその世界シェアランキングを一覧表にまとめました。

信越化学、HOYA、JSRなど、複数の材料で高いシェアを持っている日本企業があります。複数の材料で高いシェアを持つ化学メーカーは、半導体メーカーのニーズに合わせた最適な組み合わせの提案ができるため、開発において非常に有利です。

企業名銘柄コード半導体材料の種類とシェアの順位
信越化学4063シリコンウェハー(1位)、マスクブランクス(3位)、フォトレジスト(3位)、ペリクル、封止材(モールド樹脂)
HOYA7741マスクブランクス(1位)、フォトマスク(3位)
JSR4185トップコート材料(1位)、フォトレジスト(2位)、CMPスラリー
東京応化4186フォトレジスト(1位)
三井化学4183ペリクル(1位)
トクヤマ4043多結晶シリコン(1位)
日東紡3110ガラスクロス(1位)
三井金属5706極薄銅箔(1位)
メック4971銅表面処理剤 (1位)
味の素2802層間絶縁材料(1位)
住友ベークライト4203封止材(モールド樹脂)(1位)
AGC5201マスクブランクス(2位)、ペリクル
ダイキン6367高純度フッ化水素酸(2位)、半導体用高純度ガス
レゾナック4004半導体用高純度ガス、CMPスラリー、封止材(モールド樹脂)
富士フイルム4901フォトレジスト(4位)、CMPスラリー

半導体材料と主要メーカーの世界シェアランキング

半導体材料ごとに主要メーカーの世界シェアランキングを紹介します。

マスクブランクスとフォトマスク

石英基板上に金属膜と感光膜をコーティングしたものが一般的なマスクブランクスです。EUV用マスクブランクスは石英基板上にMo/Si多層膜の反射鏡構造が形成されます。
マスクブランクスに回路パターンを形成するとフォトマスクになります。フォトマスクは露光工程で使用される回路パターンの原版です。

マスクブランクスとフォトマスク(HOYA)
マスクブランクスとフォトマスク(出典:HOYA)

世界のマスクブランクス市場規模は、2026年に21億ドルと予測されており、2035年までに3.3%のCAGRで28億ドルに達すると予想されています(Market Reports World)。

EUV用マスクブランクスを商業的に供給できるのは世界でHOYA(日)とAGC(日)のみです(QY Research、HOYA)。半導体の微細化に伴い、今後はEUV用マスクブランクスの比率が増加します。

その他光源用のマスクブランクスはHOYA(日)と信越化学工業(日)のシェアが高く、その他メーカーとして、AGC(日)、S&S Tech(韓)、アルバック成膜(日)、Telic(米)などがあります(HOYA、Market Reports World)。

マスクブランクスの市場シェアは2021年からほとんど変化がありません。これは、原材料となる高純度石英基板の製造に、莫大な設備投資と高度な技術が必要なためです。

EUV用マスクブランクス

マスクブランクス(EUV)

その他光源用のマスクブランクス

マスクブランクス(EUV以外)

フォトマスクは、半導体メーカーが内製することが多く、TSMCやサムスンは基本的に自社で製造します。内製を除いた世界の外販フォトマスク市場規模は、2026年に65億ドルと予測されており、2035年までに4.7%のCAGRで98億ドルに達すると予想されています(Business Research Insights、QY Research)。

フォトマスクの世界シェアランキングはPhotronics(米)、テクセンドフォトマスク(日)、HOYA(日)、DNP(日)、エスケーエレクトロニクス(日)、Compugraphics(英)、Taiwan Mask(台)、日本フイルコン(日)、Shandong Huawei Printing(中)、Beijing XinDong(中)の順となっています(Report Prime)。

フォトマスク

ペリクル

ペリクルはフォトマスクの保護膜で、異物がフォトマスクの回路パターン面へ直接付着するのを防ぐために使用されます。フォトマスクに傷やホコリを付きにくくして、フォトマスクの検査・交換頻度を抑制し露光工程の生産性を向上できます。

ペリクル(リンテック)
ペリクル(出典:リンテック)

世界のペリクル市場規模は、2026年に20億ドルと予測されており、2035年までに6.6%のCAGRで37億ドルに達すると予想されています(Business Research Insights)。

ペリクルの世界シェアは三井化学が首位。三井化学は2022年に旭化成から事業を取得し、EUV露光装置メーカーASMLからライセンスを受けて、先端品向け市場をほぼ独占しています(日経新聞)。

三井化学(日)以外のメーカーとしては、信越化学(日)、AGC(日)、リンテック(日)、FINE SEMITECH(韓)、S&S Tech(韓)などがあります(Business Research Insights)。

多結晶シリコン

多結晶シリコンの主要な用途は太陽電池ですが、この記事では特に純度が高い半導体用多結晶シリコンについて説明します。

半導体用多結晶シリコンはシリコンウェハーの原料となります。

ケイ石(SiO2)を還元して金属シリコン(Si)とし、シリコンをトリクロロシラン(HSiCl3)に化学変化させてから蒸留精製して純度を高め、還元して金属シリコン(Si)に戻した、純度99.999999999%(イレブンナイン)のシリコンが半導体用多結晶シリコンになります。

半導体用多結晶シリコン(トクヤマ)
多結晶シリコン(出典:トクヤマ)

世界の半導体用多結晶シリコン市場規模は、2026年に11億ドルと予測されており、2035年までに4.4%のCAGRで16億ドルに達すると予想されています(Market Reports World)。

半導体用多結晶シリコンの世界シェアランキングはトクヤマ(日)、Wacker Chemie(独)、Hemlock Semiconductor(米)の順となっており、他にもOCI(韓)、REC Silicon(米)、GCL-Poly Energy(中)などがあります(Market Reports World)。

ケイ石の還元、シリコンからトリクロロシランへの反応・精製などには多額の設備投資に加えて、超高純度のシリコンを製造するためには高度な技術の蓄積が必要なため、新規参入は容易ではありません。

多結晶シリコン

シリコンウェハー

シリコンウェハーは、半導体の土台となる円盤状の薄い板で、高純度な珪素(シリコン)でできています。

シリコンウェハーは多結晶シリコンを1,400℃以上の高温で加熱して溶かし、種結晶を使って巨大な単結晶をつくり、厚さ約1mmに切断して作られます。

シリコンウエハー(SUMCO)
シリコン単結晶とシリコンウェハー(出典:SUMCO)

世界のシリコンウェハー市場規模は、2026年に121億ドルと予測されており、2034年までに5.8%のCAGRで190億ドルに達すると予想されています(Fortune Business Insights)。

シリコンウェハーの世界シェアランキングは信越化学(日)、SUMCO(日)、GlobalWafers(台)、Siltronic(独)、SK Siltron(韓)の順となっており、他にもSoitec(仏)、上海珪産業(中)、Wafer Works(台)などがあります(Report Prime、DEALLAB、等)。

結晶成長、研磨、検査に多額の設備投資が必要なことに加え、半導体メーカーによる厳しい認定審査が必要なため、新規参入は容易ではありません。シリコンウェハーの世界シェアは各種統計によりばらつきは大きかったものの、信越化学やSUMCOなどの上位5社が市場をほぼ独占している状況は変わりません。

シリコンウェハー

各種高純度ガス

半導体製造プロセスの成膜・エッチングなど各工程で多様な高純度ガスが使われます。

出典:インフォーマ

世界の半導体用高純度ガスの市場規模は、2026年に125億ドルと予測されており、2034年までに7.5%のCAGRで193億ドルに達すると予想されています(Fortune Business Insights)。

半導体用高純度ガスの分野ではSK specialty(韓)、メルク(独)、日本酸素(日)の上位3社で世界シェアの40%を超えています(QY Research)。

そのほかの代表メーカーは以下のリストにあるメーカーです(Fortune Business Insights、Straits Research、など)。半導体用高純度ガスは種類が多く、様々なメーカーによって供給されています。

  • Air Products(米)
  • Air Liquide (仏)
  • Linde(英)
  • 関東電化工業(日)
  • レゾナック(日)
  • トリケミカル研究所(日)
  • ADEKA(日)
  • ダイキン(日)
  • セントラル硝子(日)
  • 住友精化(日)
  • 日本ゼオン(日)
  • 岩谷産業(日)
  • 三菱ガス化学(日)
  • Solvay (ベルギー)
  • Messer Group (独)
  • Electronic Fluorocarbons(米)

フッ化水素酸

高純度のフッ化水素酸はウェットエッチングやウェット洗浄で使用されます。

世界の高純度のフッ化水素酸の市場規模は、2026年に12億ドルと予測されており、2035年までに8.5%のCAGRで24億ドルに達すると予想されています(Business Research Insights)。

ステラケミファ、ダイキン、森田化学が強く、日本メーカーのシェアは約7割~8割と言われています。

  • ステラケミファ(日)約50〜60%
  • ダイキン(日)約10~15%
  • 森田化学(日)約10~15%

スパッタターゲット

スパッタターゲットとは、スパッタ法によって薄膜形成を行うための材料で、金属を加工して製造されます。半導体用スパッタターゲットとしては、チタン、アルミ、タンタル、銅などの金属が利用されます。

スパッタターゲット(アルバック)
スパッタターゲット(出典:アルバック)

世界のスパッタターゲットの市場規模は、2026年に21億ドルと予測されており、2034年までに6.5%のCAGRで31億ドルに達すると予想されています(Market Reports World)。

スパッタターゲットの世界シェアランキングはJX金属(日)、Materion(米)の順となっており、他にもLinde(独)、Plansee(オーストリア)、プロテリアル(日)、Honeywell(米)、東ソー(日)、アルバック(日)などがあります(Market Reports World)。

スパッタターゲット

フォトレジスト

フォトレジストは、ポリマー(高分子化合物)と感光性材料とその他添加物を有機溶媒に溶かした液状組成物です。シリコンウェハーにレジストを塗布し、光や電子線を照射(露光)すると照射した部分だけ化学反応をして、レジストの溶解性が変化します。その後、溶剤で洗い流すと露光形状と同じパターンをシリコンウェハー上に形成させることができます。

フォトレジスト(TOK)
フォトレジスト(出典:東京応化)

世界のフォトレジスト市場規模は、2025年に33億ドルと予測されており、2032年までに6.7%のCAGRで52億ドルに達すると予想されています(QY Research)。

2021年はJSR(日)、東京応化(日)、信越化学(日)、住友化学(日)、富士フィルム(日)の5社で世界シェアの90%を寡占していました。その後、2024年と2025年は上位3社は不動ですが、4位以下は激しく順位が入れ替わっています。

最新の2025年のフォトレジストの世界シェアランキングは東京応化(日)、JSR(日)、信越化学(日)、Qnity Electronics(米)、住友化学(日)の順となっています。
Qnity Electronicsは、デュポンのエレクトロニクス部門が2025年に分社化・独立した企業です。
中国メーカーのシェアも少しずつ拡大していますが、まだ割合は小さいです。

フォトレジスト2025

フォトレジスト原料

フォトレジストは、ポリマー(高分子化合物)、感光性材料、溶剤を主成分とする液状の組成物です。それぞれの主要メーカーを紹介します。

半導体材料の中のフォトレジストだけでも、フォトレジストメーカー、フォトレジストの原料のポリマー(高分子)、感光性材料、溶剤メーカー、さらにその原料の化学メーカーとすそ野が広く関係会社が多い産業構造になっています。

ポリマー(高分子)およびその原料モノマー感光性材料溶剤
DIC
旭有機材
大阪有機化学工業
群栄化学工業
住友ベークライト
ダイセル
ダイトーケミックス
田岡化学工業
東洋合成工業
日本曹達
富士フィルム
三井化学
三菱ケミカル
ADEKA
東京化成工業
東洋合成工業
ダイトーケミックス
KHネオケム
神港有機化学工業
ダイセル
東洋合成工業
レゾナック

トップコート材料

半導体の中のArF液浸露光タイプのみで使用される材料で、アルカリ可溶性ポリマーとアルコール溶剤の組成物です(JSR)。

トップコート材料は主に液浸ArF露光の際に使用される材料で、フォトレジスト上に疎水性バリアを形成させ、レジストから光酸発生剤が水によって溶出するのを防ぎ、半導体の欠陥を抑制するために使用されます。

JSR(日)が圧倒的な世界トップシェアを獲得しています(JSR)。

CMPスラリー

CMPスラリーは、研磨ナノ粒子、化学添加剤、および超高純度液体からなる研磨剤混合物です。CMPスラリーを用いてウェハー表面を機械的に研磨することにより、ウェハーを平坦にし、デバイス性能を向上させます。

世界のCMPスラリー市場規模は、2026年に25億ドルと予測されており、2034年までに8.6%のCAGRで48億ドルに達すると予想されています(Straits Research)。

CMPスラリーの世界シェアNo.1はレゾナック(日)です(レゾナック)。

インテグリス(米)も大手です。インテグリスは、CMPスラリー、CMPパッド、CMP後洗浄薬液までCMPのトータルソリューションビジネスを展開しています。

日本メーカーの中では富士フィルム(日)、フジミ(日、JSR(日)のシェアが大きいです。その他にも、BASF(独)、3M(米)なども生産しています。

ガラスクロス

ガラス繊維をタテ糸とヨコ糸にして布状に織り上げた素材をガラスクロスと呼びます。半導体パッケージ基板として銅張積層板が用いられますが、この銅張積層板はガラスクロスに樹脂をしみこませて銅箔で挟み込んだものです。

ガラスクロス(日東紡)
ガラスクロス(出典:日東紡)

半導体パッケージ基板向けの高機能ガラスクロスは、日東紡(日)が世界シェアの90%超を握り、ほぼ独占状態にあります(東洋経済)。

極薄銅箔

極薄銅箔は、半導体パッケージ基板の微細な回路形成に使用される材料です。

三井金属(日)がパッケージ基板向けの極薄銅箔(製品名:MicroThin)で95%の世界シェアを持っています(三井金属)。

銅表面処理剤

銅表面処理剤は、半導体パッケージ基板樹脂と銅配線を接着させるための薬品です。

メックがパッケージ基板向けの銅表面処理剤でほぼ100%の世界シェアを持ちます(株探)。メックの銅表面処理剤は世界中の半導体パッケージ基板メーカーに採用され、世界シェアをほぼ独占しています。パッケージ基板の大型化・多層化により売り上げ拡大が見込まれています。

層間絶縁材料

層間絶縁材料は、パッケージング工程において半導体と金属配線を接触させたくない部分に設置されます。半導体の小型化に必須の材料です。

層間絶縁材料(味の素)
層間絶縁材料・味の素ビルドアップフィルム(出典:味の素)

世界の層間絶縁材料市場規模は、2025年に6.5億ドルと予測されており、2035年までに6.7%のCAGRで12.5億ドルに達すると予想されています(Survey Reports)。

味の素(日)のビルドアップフィルム(商品名ABF)は、全世界の主要な半導体の層間絶縁材のほぼ100%のシェアを取っています(味の素)。

封止材(モールド樹脂)

熱硬化性エポキシ樹脂にシリカ微粒子を分散させた組成物で、チップを光・熱・湿気・衝撃から保護します。

住友ベークライト(日)が最大手で世界シェア約40%を持っています(日経新聞)。ほかには、レゾナック(日)、信越化学(日)、日本化薬(日)などが知られています。

リードフレーム

リードフレームは、半導体チップを支え、固定すると同時に、外部の回路と電気をつなぐ配線の役割をする薄い金属板です。

世界のリードフレーム市場規模は、2026年に44億ドルと予測されており、2034年までに6.9%のCAGRで74億ドルに達すると予想されています(Fortune Business Insights)。

リードフレームの世界シェアランキングは三井ハイテック(日)、新光電気(日)、長華科技(台)、ASM Pacific Technology(シンガポール)、HAESUNG(韓)、SDI(台)の順となっています(QY Research)。

ボンディングワイヤ

ボンディングワイヤは、半導体チップの電極と外部の基板やパッケージの端子を接続するための、極めて細い金属線です。様々な金属が使われますが、金が使用されることが多いです。

世界のボンディングワイヤ市場規模は、2024年に445億ドルと予測されており、2035年までに5.3%のCAGRで85億ドルに達すると予想されています(Transparency Market Research)。

金のボンディングワイヤの世界シェアランキングは田中貴金属(日)、Heraeus(独)、日本マイクロメタル(日)、タツタ電線(日本)、住友金属(日)の順となっています(Spherical Insights)。

半導体材料の市場規模と将来の見通し

SEMIによると2025年の半導体材料市場は732億ドル(SEMI)。前年比6.8%増で過去最高でした。

世界の半導体材料市場は、4.2%のCAGRで成長すると予想されています(Fortune Business Insights)。

半導体材料メーカーは、将来性ランキングでも高い順位をつけていました。


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なぜ日本メーカーが世界シェア約50%を誇るのか?

長年の蓄積による精密合成・超高純度化技術

1980年代、日本はDRAM(メモリ)を中心に世界の半導体製造の約50%のシェアを握る半導体王国でした。この黄金期は半導体チップだけでなく半導体材料産業も成長しました。これが現在の半導体材料分野における独走状態を形成したという歴史的・構造的な背景があります。

半導体の微細化が進むにつれ、使用する化学材料には「99.9999999%」といった超高純度の化合物が求められます。日本の化学メーカーは、長年の素材研究で培った精密合成・精製技術や不純物測定ノウハウを有しており、競合他社が容易に模倣できない高品質な材料を安定供給できる技術基盤を確立しています。

顧客との強力なすり合わせ開発体制

半導体材料の開発は、製造装置や顧客である半導体メーカーの製造プロセスに合わせて微調整を行うカスタムメイドが基本です。日本の材料メーカーは、TSMCやサムスン電子などのメガファウンドリと開発初期段階から深く連携し、現場の要求に応じた試行錯誤(すり合わせ)を繰り返すことで、他社が参入しにくい強固な信頼関係を築いています。

高い参入障壁、高いスイッチングコスト

半導体製造ラインでは、材料をわずかに変更しただけで歩留まり(製品の良品率)が大幅に低下するリスクが存在します。そのため、一度製造ラインに認定・採択された日本メーカーの材料は、顧客側から他社製品へ切り替える(スイッチングする)ハードルが極めて高くなり、結果として長期間にわたり高い市場シェアを維持し続けることができます。

材料を変更するためには、1~2年の長い時間をかけて品質や歩留まりへの影響を評価します。これは半導体メーカーにとってもコストがかかるため、半導体メーカーは材料の変更を極度に嫌います。

半導体材料メーカーの売上高と成長率

主要な半導体材料メーカーについて、2021年から2023年の2年間の売上高と成長率を一覧表にまとめました。

上位2社の信越化学とSUMCOはいずれも単価の高いシリコンウェハーを製造しています。
一方で、例えばフォトレジストは日本メーカーのシェア合計は高いですが、単価が低く競合メーカーも多いためシェア上位の東京応化やJSRでさえ1,000億円程度の売り上げしかあげられていません。

ランキング企業名銘柄コード2021年
(億円)
2023年
(億円)
成長率
(%)
主要製品
1信越化学40636,7088,45626%シリコンウェハー、フォトレジスト
2SUMCO34363,3564,25627%シリコンウェハー
3住友化学40054,5974,037-12%フォトレジスト、高純度薬液
4三菱ガス化学41822,8573,72730%高純度薬液、封止材
5三菱ケミカル41883,4073,6437%高純度薬液、フォトレジスト原料
6レゾナック40044,2293,381-20%高純度ガス、CMPスラリー、封止材、基板材料
7TOPPAN79112,1092,62324%フォトマスク、パッケージ基板
8大日本印刷79122,0802,2458%リードフレーム、フォトマスク
9HOYA77412,0241,918-5%マスクブランクス、フォトマスク
10富士フィルム49011,3791,79630%フォトレジスト、CMPスラリー、封止材
11AGC52011,2101,51325%マスクブランクス、基板材料、CMPスラリー
12JSR41851,0691,1174%フォトレジスト、封止材
13東京応化418679587810%フォトレジスト、封止材
14住友ベークライト420372780411%封止材、パッケージ基板材料
15東レ3402759612-19%封止材、パッケージ基板材料
16関東電化404746456522%特殊ガス
17FUJIMI53844114264%CMPスラリー
18ADEKA44013603826%高純度ガス、フォトレジスト原料
19東洋合成4970193192-1%フォトレジスト原料
20セントラル硝子4044197181-8%高純度ガス、フォトレジスト原料

まとめ

この記事では、半導体製造プロセスの各工程に使用される半導体材料と、その主要な半導体材料メーカー、そして最新の市場規模・シェアを紹介しました。

半導体材料市場は、AIやデータセンターの普及に伴い今後も成長が期待される分野です。日本の素材メーカーの強みや最新動向を把握しておくことは、業界研究や投資において大きな武器になります。

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