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原油・ナフサから化学製品への石油化学系統図一覧まとめ

原油・ナフサから化学品ができるまで 化学品系統図

化学メーカーは原油・ナフサを原料に、さまざまな誘導品を製造します。

この記事では、原油からナフサを経由してプラスチック製品、合成繊維、合成ゴムなどの各種化学品ができるまでの化学品系統図を、化学式を使ってわかりやすく説明します。

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原油・ナフサから化学製品ができるまで

原油を精製してナフサを得る

地中からくみ上げられたばかりのドロドロした原油は、単一の物質ではありません。様々な大きさや形の炭化水素化合物(炭素Cと水素Hが結びついた分子)を主要成分とする、複雑な混合物です。炭素が数個つながった小さい分子から、炭素が数十個以上つながった大きな分子まで、多様な分子が混ざっています。

この原油を蒸留精製して分離精製します。一般的に、小さい分子は沸点が低く、大きな分子は沸点が高い特徴があります。この沸点の差を利用して分離精製します。

石油精製工場(製油所)では、次のようなプロセスで原油を精製しています。

  1. 原油を約350〜400℃に加熱して液体から気体に気化させます。
  2. 原油の気体を蒸留塔の下に送り込みます。(蒸留塔は下が熱く、上に行くほど冷たくなっています)
  3. 原油の気体は蒸留塔の下から上に登るにしたがって冷やされますが、沸点が高い分子は蒸留塔の下の方で気体から液体になり、沸点が低い分子は蒸留塔の上の方で気体から液体になるか、気体のまま蒸留塔の上から抜けます。

蒸留塔の上から下まで、沸点が低いに並べるとこうなります。

  • 石油ガス(ガスコンロなどの燃料)
  • ナフサ(石油化学品の原料)
  • ガソリン(自動車燃料)
  • 灯油(ジェット機燃料、ストーブ用)
  • 軽油(ディーゼル車燃料)
  • 重油(船舶燃料)
  • アスファルト(道路の舗装)

ナフサ2番目に沸点が低い成分で、炭素数がだいたい5から10前後の炭化水素が中心の液体です。このナフサが石油化学品の原料になります。

原油を精製してナフサを得る
石油精製工場(製油所)で原油を蒸留精製する模式図

原油と石油の違い

  • 原油:地中からくみ上げたままの、手つかずの状態の天然の石油
  • 石油:原油と、それを精製して作られた製品(ガソリンや灯油など)全体を指す総称

ナフサをクラッキングして基礎化学品をつくる

炭化水素を分解して炭素数を少なくすることをクラッキングと呼び、ナフサをクラッキング反応させる装置はナフサクラッカーと呼びます。

ナフサクラッカーでは、炭化水素を分解して炭素数を少なくすると同時に、飽和炭化水素の結合を一重結合から二重結合へと変化させ不飽和炭化水素に変換する反応も起こります。

ナフサクラッカー模式図
ナフサクラッカーの模式図(出典:石油化学工業協会)

ナフサクラッカーでは、ナフサを原料としてエチレンをはじめ、様々な化学品が生産されます。下の反応式はナフサ中のヘキサンが分解してエチレンとブテンが生成する例や、オクタンが分解してエチレンとベンゼンが生成する例です。

ナフサクラッカーの反応式の一例

ナフサクラッカーの詳細は「エタンクラッカーとナフサクラッカーの違い」をご覧ください。

基礎化学品・中間化学品・最終製品

化学業界は、原料からの流れで川上・川中・川下の三層に分けて理解されます。ナフサクラッカーで得られた基礎化学品を原料として、中間化学品や最終製品がつくられます。

区分代表例特徴
基礎化学品 (川上)エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)ナフサクラッカーで得られる化学品など。大量生産される。中間化学品の原料になる。
中間化学品 (川中)ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン、テレフタル酸、カプロラクタム、アクリロニトリル、酸化エチレン基礎化学品を加工・合成した化学品。最終製品の素材になる
最終製品 (川下)プラスチック製品、合成繊維、合成ゴム、塗料、接着剤、肥料、半導体材料、電池材料中間化学品を合成・配合・成形して、市場に供給する製品にする

次の章では、基礎化学品から製造される具体的な中間化学品や最終製品を紹介します。

石油化学系統図

エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)の基礎化学品が、それぞれどのような中間化学品を経て最終製品になるのか、具体的な化学品系統図で説明します。

エチレン誘導体の化学品系統図

エチレンの主な用途はポリエチレン(PE)です。

ほかにも、ジクロロエタン、塩化ビニル(VCM)、塩化ビニル樹脂(PVC)、酸化エチレン(EO)、エチレングリコール(EG)、エタノールアミン、エチレンイミン、エチレンカーボネート、ポリエチレングリコール(PEG)、アセトアルデヒド、酢酸ビニル、ブタノール、ペンタエリスリトール、エタノール、α-オレフィンなど、エチレンはさまざまな化合物の原料になります。

エチレン誘導体

プロピレン誘導体の化学品系統図

プロピレンの主な用途はポリプロピレン(PP)です。

ほかにも、アクリロニトリル(AN)、ABS樹脂、アセトン、ビスフェノールA(BPA)、フェノール、酸化プロピレン(PO)、プロピレングリコール(PG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリウレタン(PU)、アリルアルコール、グリセリン、ブチルアルデヒド、ブタノール、オクタノール、アクリル酸、アクリル酸エステル、アセトン、ビスフェノールA(BPA)、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、イソプロピルエーテル、キュメン(クメン)、フェノール、アクロレイン、メチオニンなど、プロピレンは様々な化学品の原料になります。

プロピレン誘導体

詳細は「プロピレン誘導体系統図」の記事をご覧ください。

BB留分(ブタン・ブチレン留分)誘導体の化学品系統図

BB留分とは、ナフサクラッカーで蒸留精製された、ブタン・ブチレンなどのC4留分のことです。沸点が比較的近い炭素数4の基礎化学品をまとめてBB留分と呼びます。

BB留分(ブタン・ブチレン留分、C4留分)は、ブタジエンを経由してスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)といった汎用合成ゴムや、メチルメタクリレート(MMA)、テトラヒドロフラン(THF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、無水マレイン酸、1,4-ブタンジオール、イソブチレン、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)、メタクリル酸、1,4-ブタンジオールなどの原料になります。

ブタン・ブチレン誘導体

ベンゼン誘導体の化学品系統図

ベンゼンは、スチレン(SM)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シクロヘキサン、カプロラクタム(CPL)、ナイロン-6、アジピン酸、ナイロン-6,6、キュメン(クメン)、フェノール、フェノール樹脂、ビスフェノールA(BPA)、サリチル酸、ピクリン酸、アセトン、α-メチルスチレン、アルキルベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ポリウレタン(PU)、無水マレイン酸などの原料になります。

ベンゼン誘導体

トルエン誘導体の化学品系統図

トルエンは、ニトロトルエン、メチルアニリン、ポリウレタン、トリニトロトルエン(TNT)、ベンズアルデヒド、安息香酸、フェノール、カプロラクタム(CPL)、テレフタル酸(TPA)、トリレンジアミン、ビニルトルエン、クレゾール、サッカリンなどの原料になります。

トルエン誘導体

キシレン誘導体の化学品系統図

キシレンはオルト/メタ/パラキシレンに分離され、それぞれ別の誘導品に展開します。

  • オルトキシレン → 無水フタル酸
  • パラキシレン → テレフタル酸(TPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)
  • メタキシレン → イソフタル酸、ポリエステル
  • 混合キシレン → 溶剤
キシレン誘導体

基礎化学品・中間化学品の略称一覧

略称英語名日本語名
PEPolyethyleneポリエチレン
PPPolypropyleneポリプロピレン
PSPolystyreneポリスチレン
PVCPolyvinyl Chloride塩化ビニル樹脂
PETPolyethylene Terephthalateポリエチレンテレフタレート
ABSAcrylonitrile Butadiene StyreneABS樹脂
SBRStyrene Butadiene Rubberスチレンブタジエンゴム
BRButadiene Rubberブタジエンゴム
IRIsoprene Rubberポリイソプレンゴム
MMAMethyl Methacrylateメチルメタクリレート
ANAcrylonitrileアクリロニトリル
BPABisphenol AビスフェノールA
CPLCaprolactamカプロラクタム
TPATerephthalic Acidテレフタル酸
EOEthylene Oxide酸化エチレン
VCMVinyl Chloride Monomer塩化ビニルモノマー

バイオナフサ

近年は、化石資源由来の基礎化学品に加えて、バイオマスやケミカルリサイクル原料からバイオナフサを製造し、基礎化学品・中間化学品を製造する動きが進んでいます。

マスバランス方式を用いることで、ベンゼン・エチレンなどの基礎化学品でも、実質的にバイオマス/リサイクル由来の誘導品として扱うことが可能になっています。

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