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ナフサとは?化学式・性質・製造方法・用途を解説

薄黄色液体 情報

ナフサの化学式(構造式)、性質、製造方法、用途をまとめてわかりやすく解説します。

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ナフサとは?

ナフサの沸点範囲と炭素数範囲

ナフサとは、原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる化学品のうち、沸点範囲がおおむね30~230 ℃程度の炭化水素化合物の混合物です。ナフサにはおよそ100~500種類もの化合物が含まれます(Compositional Analysis of Naphtha and Reformate)。

ナフサは沸点範囲によって、軽質ナフサ、重質ナフサ、フルレンジナフサに分類されます。

  • 軽質ナフサ:ナフサのうち沸点範囲が30 – 140 ℃程度のもの。日本では石油化学工業でのナフサクラッカー(エチレンプラント)の原料として多く使用されます。
  • 重質ナフサ:沸点範囲が40 – 230 ℃程度のものを重質ナフサといい、主に接触改質装置におけるガソリンおよび芳香族炭化水素製造の原料として使用されます。重質ナフサに含まれる炭化水素化合物は主に炭素数6~10のため、接触改質するとオクタン価の高いガソリン成分や芳香族炭化水素化合物を生成しやすいためです。
  • フルレンジナフサ:輸入されるナフサには、軽質ナフサと重質ナフサが混じっている(沸点範囲が広い)ものがあり、それらはフルレンジナフサと呼ばれます。

ナフサに含まれる化合物

ナフサに含まれる炭化水素化合物は、主に炭素数5~10の範囲です。

ナフサに含まれる化合物は、主に5種類の炭化水素化合物に分類されます。

  • パラフィン(直鎖アルカン):n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカンなど。
  • イソパラフィン(分岐アルカン):2-メチルブタン、2-メチルペンタン、3-メチルヘプタンなど。
  • オレフィン(アルケン):原油を精製したナフサには非常に微量にしか含まれない。
  • ナフテン(シクロアルカン):メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロペンタンなど。
  • 芳香族化合物:ベンゼン、トルエン、キシレンなど。
ナフサに含まれる炭化水素化合物の例

一般的なナフサは、パラフィンとイソパラフィンの合計が40~70%、オレフィンが0~2%、ナフテンが20~60%、芳香族化合物が5~20%の混合物です(Compositional Analysis of Naphtha and Reformate)。(ナフサは原油を蒸留して分離精製されたものですので、原油の産地によって成分に差があります。)

ナフサの化学式(構造式)

ナフサは主に炭素数5~10の炭化水素化合物の混合物です。では具体的にどのような化合物の混合物なのでしょうか?

ナフサを化学分析したデータを紹介します。(ナフサは原油を蒸留して分離精製されたものですので、原油の産地によって成分に差があります。)

文献1によると、ナフサの主要成分は以下の9種類の化合物と報告されています[1]。

ナフサ中の主要な化合物
ナフサ中の主要な化合物(出典:文献[1])

文献2では、炭素数と化合物分類ごとの構成比率(%)を表形式でまとめていました[2]。

炭素数パラフィン
(直鎖アルカン)
イソパラフィン
(分岐アルカン)
ナフテン
(シクロアルカン)
芳香族化合物
C42.160.1200
C527.3421.383.580
C610.1912.293.841.58
C73.293.824.341.57
C81.041.20.920.55
C90.260.500.03
合計44.2839.3112.683.73
炭素数と化合物分類ごとの構成比率(出典:文献[2])

ナフサの微量不純物

ナフサには主成分の炭化水素化合物のほかに、硫黄含有化合物や窒素含有化合物、酸素含有化合物が微量に含まれています(Compositional Analysis of Naphtha and Reformate)。

  • 硫黄含有化合物:スルフィド類(エチルメチルスルフィド、エチルイソプロピルスルフィド、エチルプロピルスルフィドなど)、チオフェン類(チオフェン、2-メチルチオフェン、2,5-ジメチルチオフェンなど)、メルカプタン類(n-プロピルメルカプタン、n-ブチルメルカプタンなど)
  • 窒素含有化合物:ピリジン類、ピペリジン類、インドリン類、ピロール類
  • 酸素含有化合物:フェノール類、フラン類、カルボン酸類、エステル類

ナフサの用途

ナフサの主な用途は、エチレンなどの基礎化学品を生成するために、ナフサクラッカーの原料として使用されます。ナフサクラッカーについては以下のページでわかりやすく説明しています。

ナフサは発電所などのボイラー燃料として利用されることもあります。

ナフサは溶解力に優れているため、塗料などの溶剤として利用されることもあります。

ナフサの性質

ナフサは、以下の性質があります。

  • 常温では炭化水素臭のする液体です。ガソリンスタンドでにおうガソリンと似た匂いです。
  • 揮発性が高い引火性の液体です。燃料として使用されることもあります。
  • 非極性の液体です。溶剤として使用されることもあります。
  • 水には溶けません。
  • 比重は約0.7前後で、水より軽いです。

ナフサの製造方法

ナフサは石油精製工場(製油所)において、原油を蒸留精製して得られます。次のようなプロセスで原油を精製しています。

  1. 原油を約350〜400℃に加熱して液体から気体に気化させます。
  2. 原油の気体を蒸留塔の下に送り込みます。(蒸留塔は下が熱く、上に行くほど冷たくなっています)
  3. 原油の気体は蒸留塔の下から上に登るにしたがって冷やされますが、沸点が高い分子は蒸留塔の下の方で気体から液体になり、沸点が低い分子は蒸留塔の上の方で気体から液体になるか、気体のまま蒸留塔の上から抜けます。

ナフサ2番目に沸点が低い成分で、炭素数がだいたい5から10前後の炭化水素が中心の液体です。

原油を精製してナフサを得る
石油精製工場(製油所)で原油を蒸留精製する模式図

ナフサの別名

ナフサは粗製ガソリン、直留ガソリンなどとも呼ばれます。

北海原油由来のナフサ中の炭化水素組成

北海原油由来のナフサ中の炭化水素を分析した結果を一覧表にまとめました(Compositional Analysis of Naphtha and Reformate)。158種類の炭化水素化合物が検出されました。同定しきれなかった化合物は「C9ナフテン」といった分類で表記されています。

化合物重量%化合物重量%化合物重量%
2,4-ジメチルペンタン0.018C9ナフテン0.152C8ナフテン0.064
3,3-ジメチルペンタン0.078C9ナフテン0.269C8ナフテン0.065
2-メチルヘキサン2.287C9ナフテン0.013cis-1,3-ジメチルシクロヘキサン2.904
2,3-ジメチルペンタン1.14C9ナフテン0.0393-メチルヘプタン1.699
1,1-ジメチルシクロペンタン0.716C9ナフテン0.0793-エチルヘキサン1.664
3-メチルヘキサン3.216C9ナフテン0.0521,1-ジメチルシクロヘキサン0.454
cis-1,3-ジメチルシクロペンタン1.742C9ナフテン0.036trans-1-エチル-3-メチルシクロペンタン0.374
trans-1,3-ジメチルシクロペンタン1.65C9ナフテン0.07cis-1-エチル-3-メチルシクロペンタン0.413
trans-1,2-ジメチルシクロペンタン3.328n-ノナン2.226trans-1-エチル-2-メチルシクロペンタン0.733
C7オレフィン0.017C9ナフテン0.0621-エチル-1-メチルシクロペンタン0.107
n-ヘプタン7.885C9ナフテン0.046trans-1,2-ジメチルシクロヘキサン1.649
メチルシクロペンタン17.38イソプロピルベンゼン0.205cis,cis-1,2,3-トリメチルシクロペンタン0.023
1,1,3-トリメチルシクロペンタン0.866C9オレフィン0.3423,3-ジメチルオクタン0.25
2,2-ジメチルヘキサン0.105C9ナフテン0.206C10パラフィン0.059
エチルシクロペンタン1.056イソプロピルシクロヘキサン0.009n-プロピルベンゼン0.278
2,2,3-トリメチルペンタン0.4092,2-ジメチルオクタン0.067C10ナフテン0.065
2,4-ジメチルヘキサン0.595C10パラフィン0.1092,6-ジメチルオクタン0.145
1,2,4-トリメチルシクロペンタン0.99C10パラフィン0.015C10ナフテン0.039
3,3-ジメチルヘキサン0.137C9ナフテン0.0531-エチル-3-メチルベンゼン0.383
1,2,3-トリメチルシクロペンタン1.051プロピルシクロヘキサン0.5191-エチル-4-メチルベンゼン0.15
2,3,4-トリメチルペンタン0.162C10パラフィン0.09C10ナフテン0.063
トルエン6.765n-ブチルシクロペンタン0.0961,3,5-トリメチルベンゼン0.166
1,1,2-トリメチルシクロペンタン0.308C10ナフテン0.074C10パラフィン0.076
2,3-ジメチルヘキサン0.452C10ナフテン0.02C10パラフィン0.042
2-メチル-3-エチル-ペンタン0.18C10ナフテン0.041C10パラフィン0.03
2-メチルヘプタン2.7411-メチル-2-エチルベンゼン0.225C9パラフィン0.025
cis-1,4-ジメチルシクロヘキサン0.9143-エチルオクタン0.094p-キシレン0.927
n-オクタン5.263C10ナフテン0.014C9パラフィン0.86
イソプロピルシクロペンタン0.065C10ナフテン0.03C9ナフテン0.048
C8ナフテン0.074C10パラフィン0.043,3-ジメチルヘプタン0.09
n-オクタン0.066C9パラフィン0.0734-エチルヘプタン0.105
cis-1-エチル-2-メチルシクロペンタン0.154C10パラフィン0.0214-メチルオクタン0.433
2,2-ジメチルヘプタン0.0891,2,4-トリメチルベンゼン0.2812-メチルオクタン0.57
cis-1,2-ジメチルシクロヘキサン0.279C10ナフテン0.067C9ナフテン0.124
2,2,3-トリメチルヘキサン0.106C10ナフテン0.0813-エチルヘプタン0.157
2,4-ジメチルヘプタン0.276イソブチルシクロヘキサン0.013-メチルオクタン0.571
4,4-ジメチルヘプタン0.035C10ナフテン0.012C9ナフテン0.05
エチルシクロヘキサン3.052C10ナフテン0.013o-キシレン1.26
2-メチル-4-エチル-ヘキサン0.038C10ナフテン0.013C9ナフテン0.061
2,6-ジメチルヘプタン0.719イソブチルベンゼン0.037C9ナフテン0.023
1,1,3-トリメチルシクロヘキサン0.918s-ブチルベンゼン0.055n-ブチルシクロペンタン0.036
1,1,4-トリメチルシクロヘキサン0.136n-デカン0.258C10ナフテン0.011
2,5-ジメチルヘプタン0.394C10ナフテン0.0131,3-ジエチルベンゼン0.012
3,5-ジメチルヘプタン0.2051,2,3-トリメチルベンゼン0.0791-メチル-3-n-プロピルベンゼン0.026
C9ナフテン0.1791-メチル-3-イソプロピルベンゼン0.0871-メチル-4-n-プロピルベンゼン0.009
C9ナフテン0.0781-メチル-4-イソプロピルベンゼン0.132n-ブチルベンゼン0.012
エチルベンゼン1.265C10ナフテン0.1191,3-ジメチル-5-エチルベンゼン0.009
C9ナフテン0.226インデン0.07C10ナフテン0.014
trans,trans-1,2,4-トリメチルシクロヘキサン0.472C10ナフテン0.0161-メチル-3-​n-プロピルベンゼン0.015
C9ナフテン0.05C10ナフテン0.0314-ジメチル-2-エチルベンゼン0.015
C9ナフテン0.031C11パラフィン0.0414-ジメチル-4-エチルベンゼン0.013
m-キシレン3.0394-メチルヘプタン0.888n-ウンデカン0.018
C9ナフテン0.7843,4-ジメチルヘキサン0.123
北海原油由来のナフサ中の炭化水素の重量%
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