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PTPシート(お薬シート)のマテリアルリサイクル|プラスチックとアルミを分離・分別

PTPシート 化学産業の話題
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PTPシート(お薬シート)は年間14,000トン製造され、多くは焼却されていました。これに対して、CO2削減とリサイクル促進の観点から、PTPシートをプラスチック部分とアルミ箔を分離分別してそれぞれマテリアルリサイクルする取り組みが広がっています。

この記事では、PTPシートの分離分別方法(ラジエ工業、大同樹脂)、PTPシートリサイクルの広がり、今後の課題について説明します。

PTPシートをリサイクルをすると、焼却処理と比較して約90%のCO2発生量が削減可能です。カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に寄与できるため、今後のリサイクルの拡大が期待されます。

PTPシートとは

PTP(Press Through Package)シートは錠剤を包装する容器で、お薬シートとも呼ばれます。PTPシートの国内販売量は年間約14,000トンで、高齢化に伴う薬の需要増でさらに増加傾向です。

PTPシートは、ポリ塩化ビニル(PVC)ポリプロピレン(PP)といったプラスチックと、アルミ箔からつくられています。PTPシートの重量のうち約90%がプラスチック、約10%が高純度アルミ箔です。

しかし、PTPシートはヒートシールされているためプラスチックとアルミ箔に分離・分別することが困難で、従来はサーマルリサイクルまたは焼却するしか処分方法がありませんでした。

PTPシートの分離分別方法

ラジエ工業

ラジエ工業では1977年にPTPシート再生処理プラントの操業を開始しましたが、2013年に事業を閉鎖しています。(出典:ラジエ工業

一時期は35社を超える製薬メーカーからPTPシートを回収していました。(出典:塩化ビニル環境対策協議会

ラジエ工業のPTPシート分離分別プロセスの概要は以下の通りです。

  1. PTPシートを4cm角に粗砕
  2. 炭酸カルシウム添加(PTPシートの接着剤によってポリ塩化ビニルとアルミの再付着が起こることを防止すると同時に、ポリ塩化ビニルへの着色を防ぐため)
  3. 120℃に加熱撹拌してポリ塩化ビニルとアルミを分離(この工程でアルミは2ミリ程度に微粉化される)
  4. 網目6ミリの篩(ふるい)でポリ塩化ビニルとアルミを分別

大同樹脂

大同樹脂ではPTPシート分離分別プロセスを開発し、2013年から本格操業しました。(出典:塩化ビニル環境対策協議会

オリックス環境や松田産業は大同樹脂からライセンスを受けてPTPシートリサイクル事業をしています。(出典:オリックス環境松田産業

オリックス環境では製薬メーカーなどから依頼される決まったシートの分離のみを実施。家庭ゴミから出るような様々なシートの分離は行っていません。(出典:中京TVニュース

大同樹脂のPTPシート分離分別プロセスの概要は以下の通りです。

  1. PTPシートを回転刃付き回転ドラムに入れて80℃~130℃に加熱撹拌(熱によってアルミが収縮硬化する一方でプラスチックは膨張軟化し、圧着していた部分が剥がれる)
  2. プラスチックの形状は変わらず、アルミは2mm以下の粉状となりそれぞれ回収
PTPシートリサイクル後の写真
(出典:松田産業

プラスチック部分は、建材やオフィスで使用されるタイルカーペットの原料に再利用されます。

アルミは溶解し、様々なアルミ製品に再利用されます。

PTPシートリサイクルの広がり

製薬メーカーで発生するPTPシート端材

武田薬品(オリックス環境、JR貨物)

武田薬品は医療用医薬品の製造過程で生じるPTP包装廃材のリサイクルとその輸送における、環境負荷低減に取り組むための企業間連携を進めています。(出典:武田薬品

沢井製薬(オリックス環境)

沢井製薬鹿島工場で発生するPTP包装廃材のマテリアルリサイクルを開始しています。2022年度に鹿島工場で対象となるPTP包装廃材の量は26トン相当でした。(出典:沢井製薬

日本ジェネリック

日本ジェネリックつくば第二工場で発生する PTP 包装廃材のマテリアルリサイクルを開始しています。2022年度につくば第二工場から排出された PTP 包装廃材の廃棄量は 29.5 トン相当でした。(出典:日本ジェネリック

住友ファーマ(オリックス環境)

住友ファーマはオリックス環境と、鈴鹿工場におけるPTP包装廃材の再資源化に向けた取組への連携に合意しました。(出典:住友ファーマ

一般消費者の使用済みPTPシート

第一三共・テラサイクルジャパン

第一三共はテラサイクルジャパンと横浜市の協力のもと、2022年10月より使用済みのPTPシートを「おくすりシートくるりんBOX」で回収しリサイクルする日本初のプログラムを開始しています。第一三共以外の製薬メーカーのPTPシートも回収できます。(出典:第一三共

今後の課題

  • 製薬メーカーからのPTPシート端材の回収率向上
  • 一般消費者の使用済みPTPシート廃材の回収率向上、回収地域拡大
  • プラスチック部分のポリ塩化ビニルへの統一(現状はポリ塩化ビニルが多いが、ポリプロピレンなど他のプラスチックもある。一般消費者の使用済みPTPシートはプラスチックが混合された状態なので、プラスチックが複数種あるとマテリアルリサイクルしにくい。)

まとめ

PTPシートについての説明、PTPシートの分離分別方法(ラジエ工業のプロセス、大同樹脂のプロセス)、PTPシートリサイクルの広がり、今後の課題について説明しました。

けむさん
けむさん

マテリアルリサイクルの取り組みはぜひ広まってほしいですね。

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