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化学メーカーの全体像|出荷額と付加価値額が高く、日本の製造業を支える化学産業

化学製品
ねこ
ねこ

化学メーカーってなに?

どんな会社があるの?

けむさん
けむさん

説明するよ

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化学メーカーとは?

化学メーカーとは、様々な化学製品を製造し提供する企業です。

化学反応を利用して化学物質を製造する会社化学物質を精製する会社複数の化学物質を混合して機能を持つ製品を製造する会社、これらはすべて化学メーカーです。 化学メーカーは、研究開発、製造、販売などのプロセスを通じて、日常生活や産業活動に必要とされる製品を提供しています。

原料から最終製品までのフロー

原料から基礎化学品や中間化学品を経由して最終製品がつくられるフローを使って化学メーカーについて説明します。

原料は石油、LPG、天然ガス、植物油脂、空気・水、食塩、リン鉱石、金属類、バイオマスなどの天然資源です。

このうち石油は精製して主にガソリンにします。残った成分のナフサを分解したナフサ分解生成物は基礎化学品になります。最近はバイオマスから得たナフサが使われることも増えています。基礎化学品はナフサ分解生成物のほかに、原料をもとに製造されるものもあります。

基礎化学品が中間化学品を経由して最終製品になります。複雑な最終製品ですと何工程もの中間化学品を経由する場合もあります。

多くの化学メーカーが様々な基礎化学品、中間化学品、最終製品をつくることで化学産業が成り立っています。

原料から製品までのフロー

ナフサ分解生成物(エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン)と食塩から誘導される、主要な誘導品(基礎化学品、中間化学品)の製品フローを別の記事にまとめています。様々な製品が製造されることがわかります。

化学メーカーの種類

川上、川中、川下メーカー

化学メーカーは、原料から基礎化学品を製造する川上メーカー、基礎化学品から中間化学品を製造する川中メーカー、中間化学品から最終製品を製造する川下メーカー、のように川の流れに例えて分類することができます。

川上メーカーの主な企業は、三菱ケミカル、住友化学、三井化学、出光、ENEOS、東ソー、昭和電工、旭化成、トクヤマなどです。川上メーカーは、川中と川下を一貫して行う総合化学メーカーが多いです。

川中メーカーにはそれぞれ得意な反応や得意な化学物質の種類があり、特色を生かした製品を製造します。多くの企業は川中メーカーに分類されます。

川下メーカーは最終製品を製造していて個人消費者にもなじみがある企業が多いです。主な企業は、花王、ユニ・チャーム、ブリヂストン、日本農薬、積水化学工業、DIC、日本ペイント、資生堂などです。

原料から製品までのフローによる分類

最終製品をもとにした分類

化学メーカーは製造する化学製品の種類によって分類されることもあります。

医薬品を製造する製薬メーカー、電子材料用途の化学製品を製造する電子材料メーカー、洗剤や化粧品を製造する日用品メーカーなど、最終製品によっていろいろあります。

日本の製造業を支える化学産業

日本で製造業というと自動車産業を思い浮かべる人が多いでしょう。経済産業省の統計において自動車産業は二輪車・船・飛行機やその部品も含めて「輸送用機械」に分類されます。輸送用機械は従業員数で3位、出荷額で1位になっています。

化学は自動車と違って一般消費者向けにCMを出さないので目立ちませんが、従業員数で6位、出荷額で2位、そして付加価値額では1位です。付加価値額が最大であることや、化学メーカーの製品は自動車産業を含めてあらゆる業界で使用されていることから、日本の製造業を陰で支えていると言えます。

【製造業内 従業員人数 ランキング】

従業員
食品124
一般機械116
輸送用機械107
情報電子104
鉄・非鉄金属98
化学96
その他製造業127
単位:万人、出処:経済産業省工業統計

【製造業内 出荷額 ランキング】

出荷額
輸送用機械68.0
化学46.0
鉄・非鉄金属43.3
一般機械39.8
食品39.5
情報電子39.1
その他製造業46.8
単位:兆円、出処:経済産業省工業統計

【製造業内 付加価値額 ランキング】

付加価値額
化学17.7
輸送用機械16.8
一般機械14.7
情報電子13.2
食品13.1
鉄・非鉄金属11.4
その他製造業13.3
単位:兆円、出処:経済産業省工業統計

化学メーカーの今後の方向性

石油化学から機能材料化学へ

石油化学は成熟化したため新興国で製造されるようになり、日本の石油化学産業はコストで太刀打ちできなくなっています。そのため日本の化学メーカーは機能材料化学製品で収益を上げる方向に進んでいます。

機能材料化学製品とは、従来より機能が高く付加価値の高い化学品を意味します。日本の化学メーカーでは、電子材料、半導体材料、特殊繊維などが世界的に競争力の高い化学品として知られています。

偏光板・光学フィルム日東電工、住友化学、富士フイルム、JSR、日本ゼオン、クラレ、日産化学
液晶ブレンドJNC、DIC
カラーレジスト凸版印刷、大日本印刷、住友化学、東レ
シリコンウェハー信越化学、SUMCO
フォトレジストJSR、東京応化、信越化学、住友化学、富士フィルム
炭素繊維東レ、三菱ケミカル、東邦テナックス、クレハ

地球環境問題への対応

化学産業はエネルギー多消費産業であったり、マイクロプラスチック問題の原因であるプラスチック製造業者であることから、地球環境問題に責任を持って取り組むことが求められています。今後は地球環境問題を化学の力で解決していくことが重要です。

エネルギー効率を高めるための、化学製品による解決への貢献事例です。

  • 自動車や航空機用素材を金属から強化プラスチックに変更して軽量化、燃費向上
  • 照明を蛍光灯からLEDに変更して電力効率向上
  • 住宅用断熱材の開発、改良による冷暖房電力削減
  • 太陽電池の開発、発電効率向上
  • EV用バッテリーの効率化でEV普及
  • 水素吸蔵素材の開発で水素エネルギーの活用範囲拡大
  • 今後は新しいタイプのペロブスカイト太陽電池の普及が期待される

マイクロプラスチック問題に対しても化学製品による解決への貢献が期待されます。

  • 生分解性プラスチックの開発と普及
  • プラスチックリサイクル技術の開発で廃棄プラスチック量を削減

化学メーカーの魅力

  • 個人や産業に欠かせない製品を製造しているため、社会で必要とされる製品を製造するやりがいを感じられます。
  • 新しい製品やプロセスの開発に携わり、世の中に新しい技術を提供できます。
  • 環境に配慮した製品開発や、持続可能な技術開発など、社会的な課題を解決することができます。
  • 化学メーカーは装置産業のため、新規参入に障壁があり安定しています。

まとめ

複雑な化学産業について、原料から最終製品までのフローで全体像を表しました。多くの化学メーカーが様々な基礎化学品、中間化学品、最終製品をつくることで社会生活を豊かにしています。

化学メーカーは日本の製造業に原料を提供し、さらに付加価値額が最大であり、日本の製造業を陰で支える産業と言えます。

化学メーカーの今後の動向は、石油化学から機能材料化学へ進むこと、そのうえで化学の力を利用して地球環境問題へ貢献することです。

化学メーカーの魅力についても紹介しました。



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