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リチウムイオン電池「鉱物資源」の世界シェアとランキング|Li、Co、Ni、Mn、グラファイト

リチウムイオン電池ランキング リチウムイオン電池

リチウムイオン電池用の「鉱物資源」の国や企業の世界シェアとランキングをまとめました。

リチウムはチリやオーストラリア、コバルトはコンゴ、ニッケルはインドネシア、マンガンは南アフリカ、グラファイトは中国で多く産出されています。

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リチウムイオン電池の「鉱物資源」の世界シェアとランキング

リチウム

リチウムは世界埋蔵量2,600万トンで、埋蔵・産出国が偏在しているレアメタルです。

塩湖かん水からのリチウム生産は、アンデス山脈の中央東部のリチウム三角地帯と呼ばれる地域のチリアルゼンチンで行われています。隣接するボリビアにも多くの埋蔵量があると推測されますが、資源開発が進んでおらず不明確です。

リチウム鉱石からのリチウム生産は、主にオーストラリアで行われています。オーストラリアではペグマタイトからタンタルを生成する際の副生物として回収されており、世界2位の埋蔵量です。

また、海水中にはリチウムが2300億トン(濃度約0.2ppm)含まれており、実質的に無限の埋蔵量があるといえます。コスト面で実用的な回収方法が開発されれば、日本でリチウムを算出することが可能になります。

埋蔵量

リチウム埋蔵量
(出典:USGS 2023

産出量

リチウム産出量
(出典:USGS 2023

塩湖かん水からリチウム製品を製造する場合、天日で蒸発濃縮させ、晶析させて塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)を除去して塩化リチウム(LiCl)純度を高め、酸化カルシウム(CaO)等を用いて残留Mg成分を除去してさらに高純度化させ、ソーダ灰(Na2CO3)を加えて炭酸リチウム(Li2CO3)を製造します。水酸化リチウム(LiOH)は炭酸リチウムに消石灰(Ca(OH)2)を加えて製造します。

リチウム鉱石からリチウム製品を製造する場合、鉱石をロータリーキルンに投入して約1,100℃で加熱し、硫酸と反応させて硫酸リチウム(Li2SO4)にし、炭酸カルシウム(CaCO3)を加えて鉄やアルミの不純物を除去して硫酸リチウム(Li2SO4)水溶液にします。この硫酸リチウムにソーダ灰(Na2CO3)を加えて炭酸リチウム(Li2CO3)を製造します。硫酸リチウムに苛性ソーダ(NaOH)を加えると水酸化リチウム(LiOH)を製造できます。

塩湖かん水から生産する方法はコストが安いですが、天日乾燥工程を含むため生産期間は1.5年程度で長期になります。リチウム鉱石から生産する方法はコストが高いですが生産期間は短いです。

リチウムイオン電池の正極材には炭酸リチウムや水酸化リチウムが利用されます。

リチウム化合物の製品チャート
(出典:JOGMECを基に著者作成)

リチウムの生産企業は限られていて、アルベマール(アメリカ)、ガンフェンリチウム(中国)、SQM(チリ)、天斉リチウム(中国)、リベント(アメリカ)の5社でシェア70%以上となっています。

リチウム生産企業
(出典:Solar Edition

リチウムの用途は70%以上がリチウムイオン電池です。

リチウム用途
(出典:Advanced Science

コバルト

コバルトの埋蔵量は約830万トンでおよそ半分がコンゴに集中しています。コンゴは産出量でも世界一です。

コンゴでのコバルトの採掘については、労働安全や児童労働について問題があると指摘されています(出典:アムネスティ)。

南鳥島南方の日本の排他的経済水域内には、コバルトリッチクラストがあり、JGOMECが採掘の検討をしています。コバルトリッチクラストには、コバルト、ニッケル、銅、白金、マンガンなどの金属が含まれています。(出典:JOGMEC

埋蔵量

コバルト埋蔵量
(出典:USGS 2023

産出量

コバルト産出量
(出典:USGS 2023

コバルトの生産企業はグレンコア(スイス)のシェアが最も高く、チャイナモリブデン(中国)、ノリリスク・ニッケル(ロシア)、金川集団(中国)、ヴァーレ(ブラジル)と続いています。

コバルト生産企業
(出典:ディールラボ

コバルトの用途は約70%がリチウムイオン電池です。

コバルト用途
(出典:カナダ政府

ニッケル

ニッケルの埋蔵量は1億トン超で、オーストラリアインドネシアブラジルロシアニューカレドニアフィリピンに多く偏在しています。産出量が多いのは、インドネシアフィリピンロシアです。

インドネシアは産業構造の高度化のため、2020年にニッケル鉱石の輸出を禁止しました。その影響で2014年に2カ所しかなかったニッケル製錬所が2021年末に16カ所へ増加しました(出典:日本総研)。

埋蔵量

ニッケル埋蔵量
(出典:USGS 2023

産出量

ニッケル産出量
(出典:USGS 2023

ニッケルの生産企業としては、ノリリスク・ニッケル(ロシア)、ヴァーレ(ブラジル)、金川集団(中国)のシェアが高く、グレンコア(スイス)、BHP(オーストラリア)などがそれに続いています。

ニッケル生産企業
(出典:ディールラボ

ニッケルの用途で最も多いのはステンレス鋼産業で約70%を使用し、電池産業は約12%を使用しています。

マンガン

マンガンの埋蔵量は約17億トンで、南アフリカ中国オーストラリアブラジルウクライナガボンに偏在しています。生産量が多いのは、南アフリカガボンオーストラリアです。

埋蔵量

マンガン埋蔵量
(出典:USGS 2023

産出量

マンガン産出量
(出典:USGS 2023

マンガンはリチウムイオン電池以外の用途がほとんどです。製鉄産業において脱酸、脱硫、合金化する目的で、マンガンの約90%が使用されています。

グラファイト

グラファイトの埋蔵量は約3.3億トンで、トルコブラジル中国マダガスカルモザンビークに多く偏在しています。生産量が多いのは、中国モザンビークマダガスカルです。

埋蔵量

グラファイト埋蔵量
(出典:USGS 2023

産出量

グラファイト産出量
(出典:USGS 2023

グラファイトには天然グラファイトと合成グラファイトがあり、およそ2/3は合成グラファイトが利用されています。合成グラファイトは電極、鉄鋼、電池用途に使用され、天然グラファイトは耐火物、電池用途に使用されます。(出典:カナダ政府

まとめ

リチウムイオン電池用の「鉱物資源」の国や企業の世界シェアとランキングをまとめました。リチウムはチリやオーストラリア、コバルトはコンゴ、ニッケルはインドネシア、マンガンは南アフリカ、グラファイトは中国で多く産出されています。

サプライチェーン全体(鉱物資源~部材~製品)を通して中国の影響力が強く、特に鉱物資源のグラファイト、リチウムイオン電池、EV完成車において高いシェアを持っています。

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