ペロブスカイト太陽電池は、リチウムイオン電池や半導体レーザーなどと並び、日本で生まれた電気・電子デバイスの1つです。世界中の研究者から注目されたペロブスカイト太陽電池は、太陽電池の中でもトップクラスのエネルギー変換効率に進化しました。
ペロブスカイト太陽電池の効率向上のポイントは材料の改良と製膜方法の改良です。材料では主にペロブスカイト化合物に複数種のAサイトカチオンとハロゲンアニオンを混合使用して変換効率と安定性を両立させる調整が行われてきました。成膜方法ではアンチソルベント法や2ステップ法のようにペロブスカイト層を緻密で結晶粒界の少ない膜質にする工夫が行われてきました。
それぞれどのような工夫がされてきたのか、化学的に説明します。
ペロブスカイト太陽電池とは?
ペロブスカイト太陽電池(Perovskite Solar Cell、PSC)は、活性層にペロブスカイト化合物を用いた太陽電池です。ペロブスカイト化合物は一般式がABX3で表される無機化合物で、ロシアの鉱物学者ペロブスキーにちなんで名づけられました。
ペロブスカイト化合物は可視光吸収に適したバンドギャップと高い吸光係数と電荷分離しやすい性質を持つものがあり、太陽電池の活性層に適しています。ペロブスカイト太陽電池は、励起子の結合エネルギーが小さいため、光子の吸収時に容易に電荷分離して電子とホールが発生します。さらに、電荷キャリアの拡散距離が長く拡散率が高いため、光電変換効率が高くなるといった特徴があります。
2009年に初めて太陽電池に用いられたペロブスカイト化合物は(CH3NH3)PbI3です。当時の光電変換効率は3.8%でしたが、その後世界中で研究開発が進められ、現在はシリコン系太陽電池並みの25%を超えるまで効率が向上しました。
ペロブスカイト太陽電池の発電の仕組み
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト化合物が光エネルギーを受けて電荷分離を起こし、その際に励起した電子が電子輸送層に注入され陰極へ移動します。電荷分離で生じたホールはホール輸送層へ注入され陽極へ移動します。これにより電流が発生します。
ペロブスカイト太陽電池開発の歴史
ペロブスカイト太陽電池は2009年に発表されてから短期間で急速に性能が伸びています。ペロブスカイト太陽電池の効率向上のポイントは材料の改良と製膜方法の改良でした。それぞれの改良のポイントを紹介します。
ペロブスカイト太陽電池の材料の改良
ペロブスカイト化合物
ペロブスカイト化合物は一般式がABX3で表され多くの種類がありますが、構造上の制約と太陽電池への適正の観点から、太陽電池用ペロブスカイト化合物のA、B、Xの組み合わせはそれほど多くありません。
構造上の制約としては、ペロブスカイト化合物ABX3のそれぞれのイオンは経験的にイオン半径が一定の範囲内でなければなりません。イオン半径が大きすぎたり小さすぎたりすると、ペロブスカイト構造が不安定で構造変化を起こします。理想的なペロブスカイトは、A,B,Xのイオン半径をrA,rB,rXとしたとき以下の式を満たします。
太陽電池への適正としては、可視光吸収に適したバンドギャップと高い吸光係数と電荷分離しやすい性質を兼ね備えている材料が好ましいです。
各サイトの代表例は以下の通りで、高い効率を示すペロブスカイト太陽電池はこれらの組み合わせでできています。
- Aサイト:CH3NH3+、NH2CHNH2+、Cs+、Rb+
- Bサイト:Pb2+、Sn2+、Bi2+
- Xサイト:I–、Br–、Cl–
Aサイトの有機カチオンは、それぞれMA(メチルアンモニウム)、FA(ホルムアミジニウム)と略されて表現されることが多いです。この記事でも以降はMA、FAと表現します。
略号 | 表すもの | 例 |
MA | CH3NH3+ | (CH3NH3)PbI3 → MAPbI3 |
FA | NH2CHNH2+ | (NH2CHNH2)PbI3 → FAPbI3 |
Aサイト
2009年にはじめて発表されたペロブスカイト太陽電池に使用されていたのはMAPbI3でした[1]。MAPbI3は比較的安定な化合物で、バンドギャップは太陽電池の最適値である1.34eVより少し広い1.57eVであり、現在でも標準的に使用されています。
ペロブスカイト材料のバンドギャップはPbの5s軌道が占める価電子帯と、Pbの5p軌道が占める伝導体のエネルギー差で決まりますが、その状態はAサイトとXサイトに影響を受けるため、AサイトとXサイトを変更するとバンドギャップを調整することができます。
MAPbI3を改良しようとした際、バンドギャップを少し狭くし、キャリア寿命と拡散長を長くする必要がありました。これを実現したのがAサイトをFAに変えたFAPbI3です。FAPbI3はMAPbI3と比較してバンドギャップは1.57eV から1.48eVに狭くなり、吸光係数は同等で、キャリア寿命と拡散長が長くなりました。一方でFAPbI3はペロブスカイト構造の安定性が下がることや、水や湿気によって表面欠陥が増えやすくなる欠点がありました。これらの特性の変化は、FAカチオンがMAカチオンと比較してイオン半径が大きく、極性が高くなったためです。
FAPbI3の欠点を克服する方法として、MAPbI3/FAPbI3混合ペロブスカイトが発明されました[2]。FAPbI3の安定性が低いことは、大きすぎるFAカチオンに起因しているため、FAカチオンを比較的小さなMAカチオンで部分的に置換するとペロブスカイト相が安定になることがわかりました。また、混合ペロブスカイトは緻密で平坦な多結晶膜を作るうえでも有利なことがわかりました。
このAサイトカチオンを混合するアイデアはさらに発展し、CsカチオンやRbカチオンを混合したペロブスカイト材料でも太陽電池の効率が向上することが発見されました。Csカチオンを組み込むと、FAPbI3ベースのペロブスカイト構造の熱安定性の向上、ペロブスカイト層の結晶性の向上に伴う効率の向上、湿気や照明下での安定性の向上の効果がありました[3]。AサイトのすべてをCsカチオンにするとバンドギャップが約1.7eVと大きすぎるため、Csカチオンは部分的な使用にとどまります。Rbカチオンを組み込むと、結晶の配向性と結晶粒が増大し、効率と耐久性を高める効果がありました。 高効率のペロブスカイト太陽電池では、Aサイトは複数のカチオンを混合して最適化しています。
Bサイト
高効率太陽電池のBサイトはほとんどすべてPb2+です。しかし鉛には毒性があるため、代替のBサイトカチオンの開発が続けられています。
これまでのところ、Pb系ペロブスカイトをある程度置き換える可能性があるのはSn系ペロブスカイトだけです。Sn系ペロブスカイトのバンドギャップは、Pb系ペロブスカイトのバンドギャップよりも小さく、例えばCsSnI3、MASnI3、FASnI3のバンドギャップは1.3〜1.4eVです。Sn系ペロブスカイト材料はPb系ペロブスカイト材料よりも理想的なバンドギャップを持っていますが、純粋なSn系ペロブスカイト太陽電池の効率は、Pb系ペロブスカイトよりもはるかに低いです。その理由はSn2+の酸化還元電位が低いため不安定で、すぐにSn4+に酸化してしまうことが原因です。Sn2+がSn4+に酸化されるとペロブスカイト層中に欠陥が発生し、太陽電池の効率を下げてしまいます。
PbをSnで部分的に置換したペロブスカイト材料は、純粋なSn系ペロブスカイト材料よりも優れた安定性を持つことがわかりました。Sn/Pb混合ペロブスカイト材料は、約1.25eVのバンドギャップを持ち、タンデム太陽電池の底部サブセルに最適です。また、Sn/Pb混合ペロブスカイト材料はSn4+の欠陥が減少し、効率が向上しました。
ただし、Sn/Pb混合ペロブスカイト材料はPbの量を減らすことはできますがなくすことはできません。
Xサイト
ハロゲン化物アニオンのイオン半径が小さくなると、ペロブスカイト材料のバンドギャップが大きくなります。例えばMAPbX3単結晶の場合、バンドギャップはCl、Br、Iペロブスカイトでそれぞれ2.97、2.24、1.53eVになります。太陽電池の用途では、ヨウ化物ベースのペロブスカイト材料はバンドギャップが最も小さく光吸収範囲が広いため望ましい材料です。
一方で、ペロブスカイト構造の安定性や光電子特性を微調整するためにI–の一部をBr–やCl–に置換した混合ペロブスカイト材料も検討されています。XサイトもAサイトと同様に、ペロブスカイト太陽電池の効率を向上させるため複数のアニオンを混合して特性を最適化しています。
Xサイトのハロゲン化物アニオンを変化させた複数のペロブスカイト化合物を利用することで、複数のバンドギャップを持つ光吸収層を作り、幅広く太陽光を吸収させることもできます。
電子輸送層(ETL)
ETLとしては主にTiO2が使用されています。TiO2 はバンドギャップが広いため寄生吸収が最小限に抑えられ、ペロブスカイト材料とLUMOレベルが近いため効率的に電子注入が可能で、電子輸送能力が高く、低温処理が可能で、安定性に優れているなど、ETLとして多くの利点があります。その結果、TiO2はETLの標準的な材料として用いられています。 TiO2に金属カチオンをドープすると電荷収集と光捕捉能力が向上し、効率が向上する例が報告されています。ドープするカチオンとしては、Sn、Ru、Li、Zn、Cd、Nb、および Zn カチオンが知られています。
SnO2はペロブスカイト材料とLUMOレベルが近いため効率的に電子注入が可能で、電子移動度が高く、バンドギャップが広く、透過率が高く、光安定性が高く、I-Vヒステリシスが少なく、加工が容易なため、従来のTiO2の代替として広く研究されています。
無機ETLとしては他にもCdS、In2O3、Fe2O3、IGZO、ZnOが使用されることもあります。
フラーレンやその誘導体のPCBMは、高い電子移動度や高いFF値と無視できるI-Vヒステリシスが特徴です。また製膜プロセスでは、ペロブスカイト層に直交する非極性溶媒に溶解できるため、溶液相プロセス中にペロブスカイト層の上に直接堆積させることができます。
ホール輸送材料(HTL)
ペロブスカイト太陽電池が初めて発表されたデバイスには、HTLはなく液体電解質が用いられていました[1]。そのため耐久性が不十分という課題がありました。液体電解質をSpiro-MeOTADを用いたHTLに置き換えて全固体デバイスにすることで耐久性が向上し、効率は初期の3.8%から10%程度に向上しました[4][5]。
Spiro-OMeTADは固体DSSCのHTLとして使用されている材料です。Spiro-OMeTADは導電率が低いため、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)や4-tert-ブチルピリジン(tBP)などのドーパントや添加剤が併用されます。LiTFSIなどの添加剤は吸湿性のために著しい不安定性を引き起こすことが知られており、添加剤を使用しないHTLの開発が進められています。
有機薄膜太陽電池で使用されるPEDOT:PSSは、ペロブスカイト太陽電池のHTLとしても使用されます。PEDOT:PSSは、適切なHOMOレベルで、電荷移動度が高く、低温処理が可能など多くの利点があります。一方で、吸湿性と酸性の性質のため安定性が低いという欠点もあります。
PTAAやP3HTも広く使用されているポリマーHTLです。PTAAはPEDOT:PSSと比較して安定性が向上します。P3HTはSpiro-OMeTADよりも太陽電池特性のパフォーマンスは落ちるものの、ドーパントを使用していません。
有機HTLは安定性が低い問題があるため、無機HTLも開発されています。NiOは、バンドギャップが大きく、透過率が高く、価電子帯が深いため、最も広く研究されています。ほかには、ホール移動度、熱安定性、透明度が高いチオシアン酸銅(CuSCN)や、ホール移動度が高い酸化銅(CuO)があります。
ペロブスカイト太陽電池の製膜方法の改良
ペロブスカイト太陽電池の性能は、ペロブスカイト層の結晶化度や膜質に影響されるため、製膜方法は性能を決める重要な因子です。ペロブスカイト太陽電池の効率を上げるためには、均一で結晶性が高く欠陥や結晶粒界のない層構造にする必要があります。
ペロブスカイト太陽電池は一般的に溶液プロセスで製造されます。ペロブスカイト薄膜の結晶化は、溶液中からの核生成と結晶成長の速度を調整することで制御できます。しかし、溶液プロセスでは、ペロブスカイト膜の結晶化は数秒以内に完了するため、膜の結晶化度や配向を制御することは困難でした。
ソルベントエンジニアリング
ソルベントエンジニアリングは溶液からペロブスカイト層を形成する際に、ペロブスカイト太陽電池の性能を向上させるために緻密で結晶粒界が少なく結晶の大きなペロブスカイト層を形成するための工夫です。アンチソルベント法、ガスフロー法、減圧法、加熱法などがあります。
製膜溶媒にはペロブスカイト材料の溶解性が高いDMFなどの高沸点溶媒がよく使用されていました。しかし高沸点溶媒は溶媒の蒸発速度が遅いため、核生成が遅く結晶が大きく成長し、その結果不規則な針状の結晶構造ができてしまいます。DMFなどの高沸点溶媒では、ペロブスカイト層として理想的な均一な結晶構造にするのが困難でした。そこで、溶液中からペロブスカイト結晶を析出させる速度を上げるための製膜方法の改良がされました。
ひとつはアンチソルベント法で、これはスピンコートでペロブスカイト層を製膜している最中に貧溶媒を滴下する方法です。貧溶媒としては、クロロベンゼン[6]、トルエン[7]、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル[8]が用いられます。
もうひとつはガスフロー法で、これはスピンコートでペロブスカイト層を製膜している最中に不活性ガスを吹き付けて溶媒の蒸発を早める方法です。どちらも溶液中からペロブスカイト結晶を早く析出させ、その後すぐに基板を加熱処理することで、緻密で平坦な膜を得ることができます。
ほかにも、減圧環境で製膜する減圧法や加熱しながら製膜する加熱法が開発されています。どちらもアンチソルベント法、ガスフロー法と同じ、溶媒を早く蒸発させる目的です。
2ステップ法
ペロブスカイト層の製膜方法は、1ステップ法と2ステップ法に分類できます。2ステップ法はペロブスカイト太陽電池の効率を向上させたブレイクスルーのひとつでした[9]。
1ステップ法では、ペロブスカイト化合物を構成するすべての前駆体を含む溶液を塗布し、溶媒を蒸発させることでペロブスカイト層を形成します。前駆体は例えば、PbI2、MAI(ヨウ化メチルアンモニウム)、DMF、DMSO、GBLなどの非プロトン極性溶媒です。前駆体溶液をスピンコートすると、溶媒が蒸発するとともに溶解していた前駆体の濃度が過飽和状態に達し、ペロブスカイトの核生成が起きます。1ステップ法では、核生成や核成長をうまく制御できず不規則な結晶成長となり、効率が低い原因となっていました。
2ステップ法では、PbI2溶液を塗布製膜後、MAI溶液を塗布製膜します。2ステップ法によって、PbI2と有機塩との反応を適度に制御しペロブスカイト結晶を大きくすることができます。また、PbI2とMAIからペロブスカイトへと変換する時の体積膨張により、欠陥を埋めることができ、均一で欠陥のない膜質を実現できます。
蒸気アシスト法
2ステップ法には残留PbI2界面でキャリアの輸送を妨げられて性能が劣化する課題もありました。この改良のために開発されたのが蒸気アシスト法です[10]。蒸気アシスト法は、堆積したPbI2層にMAI蒸気を接触させて製膜します。蒸気アシスト法は、核生成と膜成長が遅く、結晶粒径が大きくなり、高い再現性が得られるため、簡便な低温法です。
ペロブスカイト太陽電池の効率をさらに向上させる方法
赤外光を利用する
地球に届く太陽光の内訳は、可視光52%、紫外光6%、赤外光42%ですが、通常の太陽光発電が吸収するのは可視光だけです。ペロブスカイト太陽電池も主に可視光を使っていますが、ペロブスカイト化合物のAサイトやXサイトを変えて赤外光も吸収できる材料を使えば、赤外光を利用できてエネルギー変換効率が向上するでしょう。
タンデム太陽電池としての活用
ペロブスカイト太陽電池は、単体としての活用だけでなく「タンデム太陽電池」として活用できることからも注目されています。タンデム太陽電池とは、複数の異なるバンドギャップエネルギーを持つ太陽電池を重ね合わせた太陽電池で、幅広い波長の太陽光を吸収して発電することで変換効率の向上が期待できます。特に注目されているのが、ペロブスカイトとシリコンのタンデム太陽電池です。
関連書籍
「ペロブスカイト太陽電池の開発最前線」は、ペロブスカイト太陽電池の材料の改良、製造方法の改良、性能評価方法について、各分野の国内の専門家が解説した本です。
「ペロブスカイト太陽電池: 光発電の特徴と産業応用」は、太陽電池としてトップクラスのエネルギー変換効率に進化したペロブスカイト太陽電池の、研究の背景、歴史、しくみ、応用技術を解説した本です。
- 第1章 太陽エネルギーとサステイナビリティ
- 第2章 ペロブスカイト太陽電池の発見と先導研究
- 第3章 ハロゲン化ペロブスカイト結晶の光物性
- 第4章 ペロブスカイト薄膜の作製
- 第5章 ペロブスカイト太陽電池の性能
- 第6章 ペロブスカイト太陽電池の高効率化
- 第7章 鉛を用いないペロブスカイト太陽電池
- 第8章 広がる産業応用
- 第9章 地産地消の自給自足電力としての普及
「大発見の舞台裏で! ―ペロブスカイト太陽電池誕生秘話」は、ペロブスカイト太陽電池開発のドラマチックな展開と熾烈な研究開発の舞台裏が書かれた本です。
文献
- [1] J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 17, 6050–6051 (https://doi.org/10.1021/ja809598r)
- [2] Nature 2015, 517, 476–480 (https://doi.org/10.1038/nature14133)
- [3] Energy Environ. Sci. 2016, 9, 1989-1997 (https://doi.org/10.1039/C5EE03874J)
- [4] Sci. Rep. 2012, 2, 591 (https://doi.org/10.1038/srep00591)
- [5] Science 2012, 338, 6107, 643-647 (https://doi.org/10.1126/science.1228604)
- [6] Nat. Energy 2016, 1, 16142 (https://doi.org/10.1038/nenergy.2016.142)
- [7] Nat. Mater. 2014, 13, 897–903 (https://doi.org/10.1038/nmat4014)
- [8] Sustainable Energy Fuels 2017, 1, 1041-1048 (https://doi.org/10.1039/C7SE00125H)
- [9] Nature 2013, 499, 316–319 (https://doi.org/10.1038/nature12340)
- [10] J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 2, 622–625(https://doi.org/10.1021/ja411509g)