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化審法に非該当の化学物質と、化審法の届出が免除される場合

化学物質管理 化学メーカーの仕事内容
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学問上の化学物質の定義と化審法上の化学物質の定義は異なります。化審法に適切に対応するために、化審法に非該当の化学物質を説明します。また、化審法の届出が免除される場合も説明します。

化審法上の化学物質と他の法令との関係

化審法上の化学物質と他の法令との関係をチャートで示します。以降の項目で順番に説明します。

化審法上の化学物質
(出典:製品評価技術基盤機構 化審法の概要

化審法に非該当の化学物質

元素、放射性物質、天然物は、化審法上の化学物質に非該当

化審法第2条第1項に「『化学物質』とは、元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物(放射性物質及び次に掲げる物を除く。)をいう。」と定められています。「起こさせることにより」とは、人為的に起こさせることですから、自然界において化学反応が起こる場合はこれに該当しません。

そのため、以下の物質は化審法上の化学物質に該当しません。

  • 元素
  • 合金
  • 放射性物質
  • 天然物
  • 自然界(動植物内など)において化学反応が起きて生成した物質
  • 生物体そのもの(生、死を問わない。)又は生物体構成成分

(出典:経済産業省 化審法における化学物質の定義・解釈について

製品は、化審法上の化学物質に非該当

「製品」の定義と具体例を示します。

 定義具体例
1固有の商品形状を有するものであって、その使用中に組成や形状が変化しないもの・樹脂製のボトル、什器等を指します。
・樹脂の板、フィルム、シート 等については、そのまま又はカットした上で使用する場合は「製品」として扱いますが、加工段階で組成が変化する場合、射出成形等で形状が変化する場合は「化合物」として扱います。
2必要な小分けがされた状態であり、表示等の最小限の変更により、店頭等で販売されうる形態になっている混合物・店頭等で販売されうる形態になっている、家庭用洗剤、シャンプー、顔料入り合成樹脂塗料等を指します。
・詰め替え用インク等は、小分けされ店頭等で販売されうる形態になっていれば「製品」として扱いますが、通常小売りされないような大容量の業務向けインク等は「化合物」として扱います。
(出典:経済産業省 化審法について(概要・総論)

毒物、劇物、覚せい剤、麻薬は、化審法上の化学物質に非該当

化審法と同等以上の厳しい規制が講じられているものは化審法上の化学物質に非該当となっています。化学物質と対応する法令を示します。

  • 放射性物質 (放射線障害防止法)
  • 毒物取締法に基づく特定毒物 (毒物劇物取締法)
  • 覚せい剤および同原料 (覚せい剤取締法)
  • 麻薬 (麻薬および向精神薬取締法)

化審法の届出を免除される化学物質

特定の用途で使用され、届出を免除される化学物質

化審法上の化学物質だが、特定の用途で使用される場合は他の法令との関係で届出を免除されます。化学物質の用途と対応する法令を示します。

  • 食品、添加物、容器包装、おもちゃ、洗浄剤 (食品衛生法)
  • 農薬 (農薬取締法)
  • 普通肥料 (肥料取締法)
  • 飼料、飼料添加物 (飼料安全法)
  • 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品 (医薬品医療機器法)

運用通知で示された、届出を免除される化学物質

新規化学物質として取り扱わず、届出を免除される化学物質が運用通知で示されています。その代表例を示します。詳細は、実際に運用通知をご確認することをおすすめします。(経済産業省 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の運用について

  • 含まれるすべて化学物質が既存化学物質等に該当する混合物
  • 含有割合が1重量%未満の不純物(ただし意図的に添加したものを除く)
  • 構成している個々の化学物質がすべて既存化学物質である、分子間化合物、包摂化合物、水和物
  • 有機化合物の付加塩(金属塩を除く)であって、その塩を構成する酸及び塩基がすべて既存化学物質等である場合(例;アニリン+塩酸→アニリン塩酸塩で、アニリンと塩酸が既存化学物質ならアニリン塩酸塩は新規化学物質として扱わない)
  • オニウム塩であって、その対イオンが既存化学物質等の構成部分となっている場合(例:酢酸アンモニウムは、塩を構成する酢酸イオン及びアンモニウムイオンがそれぞれ既存化学物質である硝酸アンモニウム及び酢酸ナトリウムの構成イオンとなっているため、新規化学物質として取り扱わない)
  • 繰返し単位(単量体、縮合系に係わるものを含む)及び重合様式が同じ高分子化合物(重合手法、結晶化度、立体規則性又は重合度は問わない)
  • 開始剤又は連鎖移動剤を構造に含む有機高分子化合物であって、開始剤又は連鎖移動剤の重量割合が1%未満の高分子化合物であって、それらが名称に含まれていない別の高分子化合物が既存化学物質等である場合
  • ブロック重合物を構成する単位重合物(分子量分布を有するものに限る。)がすべて既存化学物質等である場合
  • グラフト重合物を構成する幹ポリマー及び枝ポリマーがすべて既存化学物質等である場合
  • 2種類以上の単量体等から得られる有機高分子化合物については、その重量割合の合計が99%を超える単量体等から得られる別の有機高分子化合物が既存化学物質等である場合

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