重曹とは?
重曹は、化学的には炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)として知られる物質です。慣用名の「重炭酸曹達」を略して重曹と呼ばれています。
重曹は常温では白色の粉末状で、水に溶かすと弱アルカリ性を示します。また、加熱すると二酸化炭素(CO₂)を放出し、炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)に分解します。
重曹は、日常生活から産業まで幅広い用途で利用されています。
重曹の化学式
重曹の化学式はNaHCO3です。
重曹の別名
重曹の別名には以下のようなものがあります。
- 炭酸水素ナトリウム(英語:sodium hydrogen carbonate)
- 重炭酸ナトリウム(英語:sodium bicarbonate)
- 重炭酸ソーダ、重炭酸曹達
- ベーキングソーダ(英語:baking soda)
重曹のIUPAC名、CAS登録番号
- IUPAC Name:sodium hydrogen carbonate
- CAS登録番号:144-55-8
- PubChemリンク:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Sodium-hydrogen-carbonate
重曹の製造方法
工業的製法①(ソルベー法)
炭酸水素ナトリウムはソルベー法の途中段階で製造され、そこから得ることができます。ソルベー法は、塩と石灰石から炭酸ナトリウムを製造する方法です。
工業的製法②
水酸化ナトリウム水溶液に、二酸化炭素を反応させて製造することができます。
NaOH + CO2 → NaHCO3
水酸化ナトリウムは、塩化ナトリウム溶液の電気分解で得られます。(参考:工業塩誘導体系統図)
天然鉱物を精製
重曹は天然鉱物を精製して得ることができます。日本ではAGCや東ソー、トクヤマなどが生産しています。重曹はナーコ石(nahcolite)という単斜晶系の透明感のある白色の結晶からなる鉱物として天然に産出します。
重曹とソーダ灰の違い
重曹は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、ソーダ灰は炭酸ナトリウム(Na2CO3)です。
重曹 | ソーダ灰 | |
別名 | 炭酸水素ナトリウム | 炭酸ナトリウム |
化学式 | NaHCO3 | Na2CO3 |
重曹の特徴
重曹には以下の特徴があります。
弱アルカリ性
重曹は弱アルカリ性なので、酸性のものを中和できます。
油汚れや皮脂の汚れの成分は酸性のため、重曹で中和させて水溶性にして水で洗い流すことができます。また、胃酸を中和することができるため、胃薬や二日酔いの薬にも使用されます。
研磨作用
重曹は、粒子が細かく、水に溶けにくいです。また、粒子が硬すぎず、柔らかすぎない結晶状態で物をこすっても傷つきにくいため、研磨剤に適しています。
発泡作用
重曹を水と混ぜて熱を加えることで、以下の式のように二酸化炭素が発生して発泡します。この作用を料理に利用すると生地を膨らますことができ、掃除に利用すると鍋のこげを落とすことができます。
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
重曹の用途
重曹には、アルカリ性、研磨作用、発泡作用などを利用した様々な用途があります。
- 中和:化学合成において酸性のものに重曹を加えると中和することができます。分液洗浄で重曹水を使用すると、酸性から弱アルカリ性に変化させることができます。
- 掃除:酸性の油汚れや皮脂の汚れ、焦げ付きなどの汚れを落とすことができます。また、焦げ付いた鍋に重曹と水を入れて加熱すると焦げ付きが浮き上がってきます。
- 消臭:生ごみや靴の臭いなど、酸性の臭いを消すことも可能です。
- 医薬品:過剰に分泌される胃酸を中和するため、胃薬や二日酔いの薬にも使用されます。
- 食品:膨らし粉、pH調整剤、野菜のアク抜き、肉を柔らかくするなど様々な用途に使用されます。
- 生活用品:歯磨き粉の研磨剤として使用されます。
- 入浴剤:重曹を溶かした重曹湯は、血管を拡張し血行を促進する働きがあるので、疲労回復、神経痛、肩や腰の痛みや凝り、冷え性などに効果があります。
- 農薬:有機栽培においてウドンコ病等を防除するために使用します。
- 消火剤:BC消火剤の成分です。
- 排ガス処理剤:排ガス中の酸成分を中和します。
- 建設:水ガラス系土壌硬化剤
重曹は買える?
重曹は洗剤や研磨剤用途として販売されており、買うことができます。