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半導体材料12種と化学メーカー約60社のシェアとランキング

化学産業の話題
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半導体産業は今後も伸び続けると予想されています。そんな半導体産業ですが、実は日本の化学メーカーは半導体の製造に使用する半導体材料で高いシェアを持っています。特に、マスクブランクスシリコンウェハースパッタターゲットフォトレジストは日本の化学メーカーが50%以上のシェアを持つ材料です。

この記事では、半導体材料の一覧と、各材料でシェアの高い化学メーカーを紹介します。

この記事はこんな人におすすめ
  • 半導体材料メーカーに興味がある人
  • 半導体材料メーカーに就職・転職したい人
  • 半導体材料メーカーに投資したい人

半導体製造装置メーカーについてはこちらの記事もご覧ください。

半導体材料とは

半導体を製造するために使用する材料を半導体材料と呼びます。半導体の製造には数多くのプロセスがあり、半導体材料も多くの種類があります。半導体製造プロセスと、各工程で使用する半導体材料を一覧表にしました。

半導体製造プロセスや半導体産業の全体像はこの記事では書ききれないため、興味のある方は下の項目「半導体産業を知るためには」をご覧ください。

半導体プロセスと半導体材料の対応表

半導体材料と主要メーカー

半導体材料ごとに主要メーカーを紹介します。

マスクブランクス

マスクブランクスは、石英基板上に金属膜と感光膜をコーティングしたものです。 これに回路パターンを形成するとフォトマスクになります。

EUV用マスクブランクスはHOYAAGC、その他光源用のマスクブランクスはHOYA信越化学工業のシェアが高いです。

マスクブランクス
出処:HOYA

フォトマスク

フォトマスクは露光工程で使用されるパターンをマスクブランクスに形成したものです。フォトレジストにパターンを転写するための材料です。フォトマスクのパターンはクロムなどにより形成されています。さらに詳しい説明はこちら(Wikipedia)。

フォトマスクは、半導体メーカーが内製することが多く、TSMCやサムスンは基本的に自社で製造します。外販フォトマスクの中では、トッパンフォトマスクフォトロニクス大日本印刷が高いシェアを占めています。半導体メーカーの中でも、ラピダスはEUVフォトマスクを内製せず外部購入する

フォトマスク
(出典:電子デバイス産業新聞)

ペリクル

ペリクルは、異物がフォトマスクの回路パターン面へ直接付着するのを防ぐために使用する保護膜です。マスクから離れた位置に異物があっても、ウエハー上では焦点を結ばないので欠陥になりません。また、傷やホコリを付きにくくする機能があり、フォトマスクの検査・交換頻度を抑制し露光工程の生産性を向上できます。

ペリクルの主要メーカーは、三井化学信越化学AGCFINE SEMITECHNEPCOS&S TechCanatuです。

三井化学は旭化成からペリクル事業を取得し、EUV露光装置メーカーのASMLからライセンスを受けて量産するなど、ペリクル事業に力を入れています。



多結晶シリコン

多結晶シリコンはシリコンウェハーをつくる原料で、高純度のケイ素です。

多結晶シリコンの有力企業はトクヤマで、2022年の世界シェアは20%です(出処:ちばぎん証券)。少し古い2005年のデータですが、その他メーカーの世界シェアを下に示します。

多結晶シリコン
出処:semiconportal

シリコンウェハー

シリコンウェハー(ウェーハ、ウエハとも言う)は、単結晶シリコンを原料としてCz法で製造した単結晶シリコンを、厚さ1 mm程度に切断して作られます。さらに詳しい説明はこちら(Wikipedia)。

シリコンウェハーは、信越化学工業SUMCOグローバルウェーハズシルトロニックSKシルトロンの5社で寡占されています。

シリコンウェハー
出処:インフォーマ

各種高純度ガス

半導体製造プロセスの各工程でさまざまな高純度ガスが使用されます。

出処:インフォーマ

高純度ガスも日本のメーカーが強いです。代表的なメーカーを紹介します。

  • ADEKA
  • SKマテリアルズ(韓国)
  • エア・ウォーター
  • エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(アメリカ)
  • エア・リキード(フランス)
  • 関東電化工業
  • 住友精化
  • セントラル硝子
  • ダイキン
  • 日本酸素
  • トリケミカル研究所
  • 日本ゼオン
  • フォーサング(韓国)
  • 三井化学
  • レゾナック

フッ化水素酸

フッ化水素酸はフッ化水素の水溶液です。高純度のフッ化水素酸はウエットエッチングやウエット洗浄で使用されます。半導体用の高純度フッ化水素酸も日本のメーカーが強いです。代表的なメーカーを紹介します。

  • ステラケミファ
  • 森田化学
  • ダイキン

フッ化水素は2019年に日本政府が韓国に対して輸出管理強化をしました。当時の日本メーカーのシェアは80~90%だったと言われています。

スパッタターゲット

スパッタターゲットとは、スパッタ法によって薄膜形成を行うための材料で、金属やセラミックスを加工し製造されます。

スパッタターゲットは、JX金属東ソーハネウェルエレクトロニックマテリアルズプラクスエアの4社で寡占されています。

スパッタターゲット
出処:インフォーマ

フォトレジスト

フォトレジストは、ポリマー(高分子)、感光性材料、溶剤を主成分とする液状の組成物で、光や電子線等によって溶解性などの物性が変化します。この性質を利用して半導体にパターン形成をします。さらに詳しい説明はこちら(Wikipedia)。

フォトレジストは、JSR東京応化工業信越化学工業住友化学富士フィルムと日本の会社で90%以上のシェアを占めています。

2023年に最大手のJSRが政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)の傘下に入りました。他社を巻き込んだ再編によって強力なフォトレジストメーカーが誕生する可能性があります。

フォトレジスト
出処:インフォーマ

フォトレジスト原料

フォトレジストは、ポリマー(高分子)感光性材料溶剤を主成分とする液状の組成物です。それぞれの主要メーカーを紹介します。

半導体材料の中のフォトレジストだけでも、フォトレジストメーカー、フォトレジストの原料のポリマー(高分子)、感光性材料、溶剤メーカー、さらにその原料の化学メーカーとすそ野が広く関係会社が多い産業構造になっています。

ポリマー(高分子)およびその原料モノマー

  • DIC
  • 旭有機材
  • 大阪有機化学工業
  • 群栄化学工業
  • 住友ベークライト
  • ダイセル
  • ダイトーケミックス
  • 田岡化学工業
  • 東洋合成工業
  • 日本曹達
  • 富士フィルム
  • 三井化学
  • 三菱ケミカル

感光性材料

  • ADEKA
  • 東京化成工業
  • 東洋合成工業
  • ダイトーケミックス

溶剤

  • KHネオケム
  • 神港有機化学工業
  • ダイセル
  • 東洋合成工業
  • レゾナック

トップコート材料

半導体の中のArF液浸露光タイプのみで使用される材料で、アルカリ可溶性ポリマーとアルコール溶剤の組成物です。さらに詳しい説明はこちら(JSR)。

トップコート材料はJSRが世界シェアNo.1です(出処:JSR)。



CMPスラリー

CMPは、Chemical Mechanical Polishingの略です。CMPスラリーは、溶剤中にナノサイズの研磨粉を分散させた組成物で、ウェハー表面を化学的に溶解させながら機械的に研磨するために使用されます。

CMPスラリーの大手はキャボットで、日本メーカーの中では富士フィルムレゾナックフジミのシェアが大きいです。

CMPスラリー
出処:インフォーマ

封止材(モールド樹脂)

封止材は、熱硬化性のエポキシ樹脂にシリカ微粒子を分散させた組成物です。半導体チップを光、熱、湿気、ほこり、衝撃から保護する目的で使用されます。最大手は住友ベークライトで、世界シェアは約40%です(出処:住友ベークライト

半導体材料の市場規模と将来の見通し

SEMIによると2022年の半導体材料市場は727億ドルで(出処:SEMI)、これは半導体市場の13%になります。

半導体の市場規模は2022年で5741億ドル(出処:世界半導体市場統計)、その後は年平均成長率8.7%で成長すると予想されています(出処:Vantage)。半導体市場の成長にともなって半導体材料も成長を続けることが予想されます。

半導体市場規模
世界半導体市場統計およびVantageより著者作成

半導体材料メーカーは、将来性ランキングでも高い順位をつけていました。

まとめ:日本の化学メーカーが強い

この記事では、半導体製造プロセスの各工程に使用される半導体材料とその主要な半導体材料メーカー約60社を紹介しました。

日本の化学メーカーが高い技術力を生かしてシェアを取っていました。特に、マスクブランクスシリコンウェハースパッタターゲットフォトレジストは日本の化学メーカーが50%以上のシェアでした。

ねこ
ねこ

複数の材料で高いシェアを持っている会社があったね

けむさん
けむさん

複数の材料で高いシェアを持っていると、半導体メーカーで使用するときに最適な組み合わせになるように自社で事前に検討できるから、材料開発が有利になるよ

半導体産業を知るためには

半導体産業がわかる本

就職・転職希望者半導体産業の関係者投資家は一度は読むべき。半導体の全体像が理解できる本で、一番おすすめです。複雑な産業構造と関連企業を半導体の製造工程にそって網羅的に解説し、237社が紹介されています。著者の菊地正典氏は元NECの半導体事業グループで主席技師長で開発・製造の第一人者。

「半導体産業のすべて」と同じ菊地正典氏の著書。半導体業界を工場の切り口から解説することで、ヒト、モノ、カネ、情報も加えた総合的な形で半導体を理解できます。

半導体業界および半導体製造装置業界への就職・転職希望者はおすすめです。半導体業界および半導体製造装置業界について、半導体製造の仕組みや業界の働き方を解説した本です。

半導体とは何か、何がすごいのかどのような種類と役割があって、どのような分野で活躍しているのかそれぞれ概要が説明されています。半導体の全体像が理解できます。

日本メーカーのシェアが高いフォトレジストに関係する本です。製造装置メーカーやフォトレジストメーカーに就職・転職する人、すでに就職している人向けです。

半導体産業がわかるサイト

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