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PFASとは? 日本と世界のPFAS規制|化学物質規制、飲料水規制

PFAS規制 PFAS

PFASは撥水性かつ撥油性という有用な特徴があるため、身近な製品に広く使用されてきました。しかしPFASは環境中に放出されるとほとんど分解されず、動植物の体内に取り込まれ、ヒトや動植物に悪影響を及ぼすことがわかってきました。

この記事では、PFASの説明と、日本と世界のPFAS規制について紹介します。

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PFASとは?

PFASはPer and Polyfluoroalkylsubstancesの略であり、ピーファスと読みます。

PFASはフッ素を含む化合物で特徴的な撥水性や油性を有しており、1940年代から多くの身近な製品に使用されてきました。また、PFASは強く安定した炭素-フッ素(C-F)結合を持ち、物理的および化学的に安定であり、加水分解、光分解、微生物分解および代謝に対して耐性があるため、「Forever Chemicals(永遠の化学物質)」と呼ばれています。

PFASの定義

PFASは有機フッ素化合物の総称で、その定義は複数存在します。

経済協力開発機構(OECD)少なくとも1個の完全フッ素化メチルまたはメチレン炭素原子(H/Cl/Br/I 原子が結合していない)を含むフッ素化物質 (少なくとも1つのパーフルオロメチル基(-CF3)または1つのパーフルオロメチレン基(-CF2-)を持つ化学物質)
米国環境保護庁(EPA)「PFAS 分子種の定義として正確かつ明快な定義はない」とし、各国の規制対象や研究者によりとりあげられた物質をPFAS Master List of PFAS Substances掲載
欧州食品安全機関(EFSA)長さが異なる疎水性のアルキル鎖R(通常はC4~C16)と親水性の末端基Xからなる物質(R-X)で、疎水性の部分は完全にまたは部分的にフッ素化されている

OECDによると、4,730のPFAS分子種の存在が確認されており、そのうち世界的に商業・工業用途として用いられているのは256物質と言われています。

PFASの特徴

PFASはフッ素を含む化合物で特徴的な撥水性や油性を有しており、1940年代から多くの身近な製品に使用されてきました。また、PFASは強く安定した炭素-フッ素(C-F)結合を持ち、物理的および化学的に安定であり、加水分解、光分解、微生物分解および代謝に対して耐性があります。

PFASの用途

例えば以下の用途でPFAS化合物が使用されることがあります。※以下の製品に必ずPFASが含まれているとは限りません。

防水衣服、付着防止剤、泡消火剤、食品包装材、調理器具の表面処理剤、フッ素ポリマー加工助剤、フローリング材、界面活性剤、シャンプー、化粧品、デンタルフロス、繊維・革・紙・プラスチック等の表面処理剤、電子基板、フォトレジスト、フォトマスク、自動車のコーティング剤、イオン交換膜、写真フィルム、金属メッキ、織物製品、医療機器、潤滑剤、ワックス、航空用油圧作動油、殺虫剤などの幅広い用途で使用されています。

PFASの蓄積性

PFASは身近な製品に使用されている一方で、廃棄された後で適切に処分されなかった場合、安定すぎるために分解されず環境中に蓄積されます。さらにPFASには、人や動物の体内から排泄されにくく蓄積される性質があることもわかってきました。

PFASの健康への影響

PFASは人の健康に悪影響があります。生産・使用量が多いPFOAやPFOSは毒性データが集まっており、疫学研究では特定のPFASへの曝露により、免疫低下甲状腺機能低下、肝疾患、脂質やインスリンの調節不全腎臓病生殖障害発達障害がんなどさまざまな健康への影響が明らかになっています。

アメリカではPFAS訴訟が多数発生し、2000年にPFOSの最大の製造業者である3M社が自主的な生産停止発表しました。

個人でできる効果的なPFAS対策

PFASは活性炭吸着やフィルター濾過で除去できます。

個人でできるPFAS対策として、活性炭やフィルターを使用した浄水器を使用して、体内にPFASを入れないようにしましょう。

各国のPFAS規制

2024年時点のPFAS規制を紹介します。日本、海外ともに今後も最新の科学的知見しだいで規制されるPFASの種類が増える可能性があります。

製造・輸入に対する規制

日本PFOS、PFOA、PFHxSは化審法第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入が原則禁止されています。
EUPFOS、PFOAはストックホルム条約に基づき、製造・輸入が原則禁止されています。
さらに今後は一定以上の濃度のPFASを含有する混合物・成型品について、EU域内での製造、上市、使用を全面的に禁止する規制案が出てきています。
アメリカ1,462種以上のPFAS化合物に対して、商業目的でPFASを含む商品を製造・輸入した事業者にPFAS関連情報の提出を義務付けました。本規則は2023年11月に施行され、2025年5月が提出期限です。

飲料水に対する規制

日本および各国の飲料水に関するPFAS規制の値をまとめました。

PFOS(ng/L)PFOA(ng/L)
日本(2020)50(PFOSとPFOAの合計)
アメリカ(2024)4.04.0
イギリス(2021)100100
ドイツ(2017)100100
カナダ(2018)600200

WHOでは2022年に暫定ガイドライン値としてPFOSは100ng/L、PFOAは100ng/Lの目標値を提案しています。またPFASの総量として500ng/Lを提案しています。

日本の目標値は、体重50kgの人が一生涯にわたって毎日2Lを引用しても健康に悪影響が生じないと考えられる水準をもとに設定されています。

アメリカは2024年4月に飲料水中のPFOSとPFOAの上限を4.0ng/Lとする規制値案を公表しました。この数値は現時点での分析能力(定量下限4.0ng/L)を考慮して決められています。PFOSとPFOA以外にも、PFHxS、PFNA、GenX(別名HFPO-DA)の上限を10ng/Lで規制します。(出典:EPA

関連サイト

環境省 PFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議

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